2019年の主な出来事
1月
4日:マルセイユでの建物崩落事故(2018年11月5日発生)に伴う、要避難建物数215棟(内113棟は危険ありと評価。他は補強工事後住民復帰)、要避難者数約1900人。4日時点での避難者数1340人。
事故に派生する市内道路交通の変更や「黄色いチョッキ」運動による消費者の買い控えもあり、複数ある避難区域の商店(93店)は深刻な影響を受け、事故以来閉業に追い込まれ経営建て直しは不可能と見られる事案(61店)もある。
市では事故を契機に従来の市政に異議を唱える運動が活性化しつつある。ラ・プレヌ(ジャン・ジョレス広場)整備構想、単身未成年移民の受け入れ保護、小学校他公共施設の建築・改修に民間資力を活用する公民協力構想(PPP)等をめぐる市民運動の進展が次期市長選(2020年)に影響を及ぼすことも予想される。他方、ゴーダン市長は任期を全うする旨表明。
6日:2018年、トゥールーズでは14人のホームレスが死亡した(すべて男性)。オクシタニー州全域では31人(28歳から71歳)。平均寿命48歳。
6日以降:「黄色いチョッキ」運動再開。マルセイユ、メラルグ等では運動組織化のための協議が実施された。意義申し立てに基づく局面から共通提案に基づく局面への移行を前にして運動を組織化することの是非或いは組織の内容を巡って意見が乱立。
パリで憲兵隊員を殴打し(5日)、後日検挙された元プロ・ボクサーに対するネット支援網が高額(1日で6600人から11.7万ユーロ)に達した。右動きに憤りを覚えたミュズリエ(PACA州議会)議長が、警察・消防関係者に対するネット支援網を立ち上げたところ、8日同額を上回る支援金を記録。
マルセイユやトゥールーズ他で、女性からなる「黄色いチョッキ」運動が平和裡に行進し、暴力や破壊に頼らずとも主張や要求は可能と唱えた。また代議制民主主義の補完機能として「市民主導の住民投票(RIC)」を求める声が登場。
他方、毎週土曜に展開される運動の影響を受けて、年末年始の商売は低迷した。マルセイユのサントン市や各地の新春大売出し等も消費者の外出控え、打ち毀しを恐れた商店の自主閉業などにより例年には遠く及ばぬ売り上げとなった。
発足以来11度目の土曜日を迎えた運動は、全国大討論会の開始(15日)を反映してか、全国的に動員数の低下を見たが、デモ参加者と治安部隊との衝突は続き、防御弾発射機(LBD)による深刻な人身被害が続発し、使用の是非を巡る議論が生じた(26日)。
トゥールーズでは「美しい街」を破壊し人々を不安や恐怖に陥れる行為に対しネット上で抗議の声が組織されるようになった。
8日:セット市(エロー県)に寄港する巡航客船が増え、乗客数も2014年の2.4万人から2019年には12.5万人が予想されている。観光客は、セット、カルカッソンヌ或いはモンペリエを日帰り訪問。セットでは、地元経済活性化のため日曜午後も商店の営業を促すとともに、市の調和を崩さないよう乗客数の上限を年間20万人と定めている。
11日:マルセイユ大海運港2018年実績
総取扱量8100万トン(前年比1%増)で仏首位港の座を維持。
石油取り扱いの減少を液化天然ガス増でほぼ相殺。コンテナ取扱量140万個(7年連続増加)。乗降客数300万人始めて突破(11%増。内訳:定期便130万人(6%増)、巡航客船170万人(15%増))。
15日:2018年地方空港業績(乗降客数)
ニース=コート・ダジュール 1385万人(前年比4.1%増)
トゥールーズ=ブラニャク 960万人(3.9%増)
マルセイユ=プロヴァンス 940万人(4.3%増)
トゥールーズ、マルセイユ共に2019年中には1000万人に達する見込み。
24日:2018年アルプ=マリティム県移民状況(同県庁調べ)
仏伊国境で移民29600人を検挙(前年比40%減)、手引き屋244人を送検(2017年検挙数、移民50000人、手引き屋349人)。保護者不在の未成年者1960人(県議会担当部局が保護)。2014年春、イタリア側からの大量移民の到来が始まって以来、約18万人が同国に戻された。(但し、移民支援団体は、「移民は成功するまで幾度も国境越えを試みるので、(18万人の中には)同一人物が含まれている」と説明。県庁は、「伊側に戻された移民は南イタリアに移送されるゆえ、2度3度と仏行きを試みることはできない」と反論)
いずれにせよ、ヴァンティミリアからフランス入りを試みる移民の減ったのは事実で、それに代わってバルカン半島、モロッコ、スペイン経由が増えた。仏側到着地点としてもブリアンソン(PACA州オート=ザルプ県)やバイヨンヌ(管外ヌヴェル=アキテーヌ州ピレネ=アトランティーク県)の比重が高まっている。
25日:2018年エアバス・ヘリコプター社業績(マリニャヌ)
民間ヘリ市場で54%(前年度50%)を占めて、世界1の座を維持。
31日:オクシタニー州では、英国の欧州離脱のもたらす経済的影響に多大の危惧を抱いている。同州産の英国向け農作物に対しては、関税はもとより、技術・衛生面での制約及び割当制度が課せられる可能性がある。仏1の産地で知られるタルヌ=エ=ガロンヌ県のりんごは、2016年国民投票で離脱派が勝利して以来、1.5億ユーロの輸出減を記録。葡萄酒や蒸留酒は、従来エロー県産品の40%が英国に輸出されていたが、離脱を見越した英側の買い溜めによって現在一時的活況を呈しているものの先行きは不安視されている。同州にある別荘もポンド高の時期に大半が購入され28%が英人所有となっているが、その後のポンド下落によって英人にとっては価格が上昇し、欧州離脱に伴う税制や規制の強化(要観光査証)によって英人観光客も減ると予想されている。エアバスでは、英国からの同社全工場の撤退の可能性も検討中。(全機種の翼を英国で製造するエアバスは、同国で1.4万人を直接雇用。間接雇用はその3倍に及ぶとされる。)
2月
7日:トゥールーズでNGOが一般市民を対象に除草剤(本邦での商品名「ラウンドアップ」)の基本成分グリフォサットの体内蓄積濃度を調べるための尿検査を実施した。NGOでは、集計結果を基に「商品化を可能にしている者」を、「人命を危険に陥れていること」、「重度の詐欺」、「環境への危害」の廉で集団告訴する予定。従来の検査では被験者全員に許容値を越えるグリフォサットの蓄積が確認されていることから、NGOはグリフォサットに限らず化学合成農薬すべてを排する環境保全型農業への移行を唱えている。
{14日:世論調査によると、「黄色いチョッキ」運動に見られる暴力の激化に対し、支持率の減少が続き、運動発生以降初めて過半数(56%)が運動を中止すべしとみなしている旨結果が出た。明瞭に反対を唱える者は31%。
他方、全仏での動員数は、4.6万人を記録し、若干勢いを取り返した(23日)。}
運動の中、反ユダヤ主義の言辞や落書きが頻繁に登場するようになり、トゥールーズではユダヤ人地域社会が警鐘を鳴らすに至った。15日、オクシタニー州議会のキャロル・デルガ議長及びエロー県議会クレベール・メスキダ議長(共にPS)は、「売女」、「汚いユダヤ人」、「3ヶ月以内に辞任しないならドカーンだ。肝に銘じておけ」などと書き込まれた匿名の脅迫を受け取り、警察に被害届を出した。19日、マルセイユ、エクサン=プロヴァンスなどで実施された反ユダヤ主義に抗議する集会には多数市民が参集。
14日:エアバス・グループは、同社製大型旅客機A380型機の生産終了(2021年)を発表した。主要顧客であるエミラート航空の最近の38機発注の取り消しに象徴される注文不足により、現行機の生産継続及び改良機の開発が不可能となったため。技術工学の結晶ともいえる航空機であったが、極めて限られた航空路で、しかも800席を埋める必要と、同機を受け入れる空港設備の存在を前提として始めて商業的に成り立つ、厳しい条件付きの製品であった。開発に踏み切った当時の、「将来の航空業界」では大型機需要が伸びるとする予測は外れた。同機に関連する従業員(全仏で700人、トゥールーズ・ブラニャク組立工場350人)の大半は別機種への配置転換となるが、下請け企業への影響は不明。
19日:アルビオン台地(ヴォークリューズ、アルプ=ド=オート=プロヴァンス、ドローム3県に跨る)にあった地対地核弾道弾発射施設(1971-96年)に核弾頭警備兵として勤務した(24時間×週4回×11ヶ月)元兵士が、骨壊死、線維筋痛症、難聴を患い障害を負うに至った背景には被曝があるとして国を相手に訴訟を起こした。従来、同基地に勤務した被曝者で国を訴えた例は皆無。今回の提訴は過去18年に亘る国との交渉記録(軍事裁判所による年金交付の否認決定、国防省による障害度の「不十分な」認定等)に基づくもの。今日47歳でありながら、疾病と障害のため就労不可能となった元兵士は、「警備に就かせるに当ってなすべき放射能防護策を講じなかった国に命を奪われた思いがする」と述べている。
21日:アルビの女装好き17歳の男子高校生が化粧してハイヒールで登校したところ、1女子生徒から抗議を受け、教育相談員からは化粧を幾分か控えるよう助言されたがこれを受け入れず、一層長い睫毛にしたところソーシャル・ネットワーク上で脅しや嫌がらせを受けた。これに憤慨した同級生200人(全校生徒800人中)が自ら化粧をして支持を表明。本人は、「自分は同性愛者ではなく、女装が好きなだけ。性の固定観念を崩し、表現の自由を護るため常識的な規範を破りたい」と主張。
24日:モントバン(オクシタニー州タルヌ=エ=ガロンヌ県)、コリウール(同州ピレネ=オリオンタル県)他をスペインのペドロ・サンチェス首相率いる代表団が訪れ、スペイン市民戦争時、フランコ率いる反乱軍に追われ仏に逃れた人民戦線支持派亡命者(1939年以降、敗走 [Retirada] を続けたスペイン人及びカタロニア人達)の墓前(就中マニュエル・アサーニャ第2共和制元大統領)で謝罪の意を表明した。
3月
2日:ニース市のサン=ティジドールのロータリーに「黄色いベスト」70人が集まってデモを行った。マルセイユ市では約2,000人が町の中心部で行進した。
3日:アルジェリアのブーテフリカ大統領の次期大統領選挙(7月4日)出馬に反対するアルジェリア人(アルジェリア生まれと仏生まれを含む)約1,000人がマルセイユ市の旧港で行進した。
4日:エリザベット・ボルヌ交通担当大臣がマルセイユ・トゥーロン・ニースを繋げる新鉄道路線を建設するプロジェクトに言及,新鉄道路線の工事でマルセイユ・サン・シャルル駅、トゥーロン駅とニース・サン・トギュスタン駅も整備開発される予定。
13日:エクス=アン=プロヴァンス市のジョアサン市長が,公金横領の第一審判決で懲役1年(執行猶予付き)と10年の被選挙権剥奪の刑に処された。市長は控訴し,モンペリエ市の高等裁判所で第二審を行う。
4月
2日:タレス社が株式公開買い付けにより,480億ユーロでジェムアルト社を買収した。ジェムアルト社はジェムノス市(ブーシュ=デュ=ローヌ県)にあるコンピュータセキュリティのリーダーで,技師3,000人を使って35リサーチ・センターで活動している。タレス社は,買い付け後に技師28,000人,研究者3,000人を使い,毎年10億ユーロを投資する。タレス社は,通信,電子銀行サーヴィスや証券取引認証のセキュリティ等を,ジェムアルトは,ドローンの航空交通管制,データのサイバーセキュリティ,及び,航空交通管制部分を担う。
5日:黄色のベスト運動を受けて1月15日に始まった国民討論のため,マクロン大統領がコルシカ島を訪問した。市長と村長160名が出席したが、シメオニ・コルシカ執行議会議長(自治論派)とタラモ二・コルシカ議会議長は抗議のため欠席した。
7日:トゥールーズ市で黄色のベスト運動に 1,300人が参加し、5名が逮捕された。
10日:CMA-CGM社は,シーバ・ロジスティックス社を14.7億ユーロの友好的株式公開買付けで買収し,海上輸送の世界一になる。
14日:トゥールーズ市での黄色のベスト運動に,4,500人から6,000人が集まった。警察との衝突で43名が逮捕され、22名の負傷者が出た。モンペリエ市では約2,000人が参加した。
18日:オクシタニー州が,人工知能とデジタル・エコノミーの最先端の州となるため,州内の公共企業と民間企業16社と共同でOccitanie data協会を設立した。
24日-26日:モンペリエ市で浮体式洋上風力発電の国際会議が行われる。仏国内の浮体式洋上風力発電所のプロジェクトは4つで、その内2つはオクシタニー州(グリュイッサン市とバルカレス市)で計画されている。
治安関連
29日:マルセイユ司法警察は,マリニャンヌ市でマルセイユ市の犯罪収益を支配してた犯罪組織を解体した。1月に一味のリーダーをプラル市で逮捕し,4月29日に共犯者と見做される8人を,ジニャック市、メルイユ市、ガルダンヌ市、アルル市、ラ・シオタ市、ヴィトロール市及びサン=シール=スュール=メール市で逮捕した。
30日:トゥールーズのトゥールーズ・ミディ=ピレネ大学とニースのコート・ダジュール大学のプロジェクトがパリとグルノーブルの大学と共に政府のAI(人工知能)を促進する「3IA」に指定され,支援を受けることになった。トゥールーズは交通、健康、環境とロボット工学・協働ロボットに5.4億ユーロ,ニースは健康と国土発展に1.5億ユーロを支援する。
5月
13日:エール・フランス社は,短距離部門で2013年から約71.7億ユーロの損失を生じているとして,2021年までに同部門の465ポストを削減する旨発表し,次の各空港に,自主退社計画を任せた。マルセイユ・プロヴァンス空港63ポスト,コルシカ島アジャクシオ空港54ポスト(空港全社員の1/3),同島バスティア空港50ポスト(空港全社員の1/3),ニース空港39ポスト(空港全社員の12%),トゥーロン空港21ポストとなる。
14日:東京(成田空港)からWAS社のチャーターによる直行便(1便のみ運行)がトゥールーズに到着し,デルガ・オクシタニー州議会議長が祝福した。262名の乗客(80%女性)はオクシタニー州からフランス国内やヨーロッパ各国を観光する。
23-24日:熊本市が,交流都市であるエクス=アン=プロヴァンス市において交流事業を実施した。官民双方で相互理解を深め,より強固な友好・提携関係を構築することを目的としたもの。熊本市からは,多野春光副市長を団長に,熊本市,熊本商工会議所,熊本県情報サービス産業協会,熊本大学,熊本市現代美術館,熊本市造園建設業協会からなる訪問団22名が訪れた。
27日:欧州議会議員選挙で,PACA州から国民連合(RN)4名,共和国前進-民主運動(LREM-MODEM)1名,緑の党(EELV)1名,不服従のフランス(FI)1名,社会党(PS)1名が,オクシタニー州から国民連合2名,共和国前進1名,不服従のフランス1名,社会党1名が当選した。政党別の得票率は,PACA州でRN30.52%, LREM-MODEM20.37%,EELV11.71%,オクシタニー州でRN25.74%,LREM-MODEM20.11%,EELV13.2%,コルシカ島でRN28.01%,EELV22.05%,LREM-MODEM15.04%であった。
28日:モンペリエ控訴院は,ジョアサン・エクス=アン=プロヴァンス市長が控訴していた第一審判決を支持した。ジョアサン市長は,公金横領と違法な利権の獲得を行ったとして第一審で執行猶予付き拘禁6か月の刑を宣告されていたもので,今回の控訴院の判決を不服として上訴する旨発表した。
30日:PACA州が高等学校の教科書をタブレットに替えるとの提案を行ったところ,85%の高等学校が提案を受け入れたことから,2020年の新学年から23百万ユーロをかけて教科書をタブレットに切り替える(4年で80百万ユーロ)。
治安関連
21日:麻薬取り締まり班がトゥールーズ市のベルフォンテンヌ地区で手入れを行い,15人を逮捕し,コカイン3キロ,ハシシ6キロ及び6万ユーロの現金を押収した。
6月
3日:トムトム社(カーナビ専門会社)が発表した2018年版「 Traffic index」によれば,仏国内の渋滞率が高い都市のランキングで南仏の都市が多く挙げられている。2位マルセイユ市,4位ニース市,7位トゥーロン市,8位トゥールーズ市,9位モンペリエ市。
5日:インディゴ・ウイール社がトゥールーズ市で電気車椅子シェアサービス実証実験を開始する。日本の豊田通商とWhill社との協力で市内の2か所の駐車場に電気車椅子を配置し,インディゴ・ウイール社のアプリケーションと連動させてシェアリングサービスを行う。
12日:トゥールーズ市にある天体物理学と惑星科学のIRAP, ISAE Sud Aero, COMAT,CNESの4研究所が協力して,火星探査ミッション車両に使われる「SuperCam」を製造しNASAに納めた。
13日:ブリジット・マクロン大統領夫人がアグレスティ・エクス=マルセイユ大学法学部長とマルセイユ市北部の貧困地区を訪問した。アグレスティ学部長は,2020年市会議員選挙で与党LREMの公認を得たいと考えている。
17-23日:パリ郊外ル・ブルジェ市で「パリ航空ショー」が行なわれた。エアバス社が新型機A321XLRのリリースを発表すると共に,自動化を進めてパイロットを1人とする「未来の飛行機」プロジェクトを紹介した。また,エアバス社は,シーメンス社及びロールス・ロイス社と協力し,2メガワットの出力がある電気航空機を研究開発中で,初テスト飛行は2021年に予定されている。航空機が2.5%を放出している二酸化炭素の削減が狙い。
カリフォルニア州のエアバスの研究所「エー・キュービック」の「VAHANA」プロジェクト,エアバス・ヘリコプターとシーメンスの協力による「CityAirbus」プロジェクト,エアバスとアウディの協力による「Pop.Up」プロジェクトで,飛行機タクシーの開発が進められている。
28日:2019年の2回目の猛暑となり,ガール県で仏の最高記録となる45.9℃を記録した。
28日:マルセイユ港は,港の大気汚染を1/3に減らすため,港内の速度を2ノットに制限することを決めた。また,2025年に旅客船用埠頭を電化するための2千万ユーロの投資計画を発表した。大気汚染を計測する協会「AirPaca」の情報では,クルーズ船は,埠頭で車1万台から3万台分と同量を排出し,航行中はその5倍から10倍以上を排出している。
7月
2日:日本でトップ,世界第8位の医薬品会社大正製薬が,睡眠薬と鎮痛剤専門の医薬品製造販売会社UPSA社(ロット・エ・ガロンヌ県アジャン市)の子会社化及び関連事業資産の取得に関する手続きを完了。買収額は14億ユーロ。
3-4日:フィリップ首相がコルシカ島を訪問し,3日にシメオニ・コルシカ執行議会議長及びタラモニ・コルシカ議会議長と会談し,4日にはプロプリアノ市長及びアジャクシオ市長と意見交換した。シメオニ議長は,政府のコルシカへの対応を方向転換することを望む旨述べた。コルシカ側は島・住民の地位やコルシカ語の公用語化等,コルシカの自治の拡大を要求している。
7日:マルセイユ市が地下鉄の改修工事の入札を公示した。2024年度に全2線の鉄道標識などを改修し,2026年度に完全空調と自動運転とする。予定価格は50億ユーロ。マルセイユの地下鉄は全長21キロ29駅,車両38台で運行されている。タレス社とアルストム社が入札への参加を表明した。
7日:PACA州は仏人の夏休みの一番人気の目的地となっており,同州も2019年に4.7百万人の観光客を期待している。同州に来る観光客の予算は1,378ユーロ(10日間滞在)で,外国人観光客上位は独・英・米になる。州の観光収入は1,890億ユーロで州の経済活動の12.5%を占める。
9日:NGOの「交通と環境」が,平均的なクルーズ船200隻がヨーロッパ中の車が放出する窒素酸化物の10倍を排出しているとするレポートを発表した。
14日:サッカーのアフリカ・ネイションズ・カップでアルジェリアが決勝進出を決めた際,マルセイユで暴力行為を行った12名が逮捕された。警察官8名が負傷した。
20日:2017年,2018年に引き続き,2019年もマルセイユ市が国内で車両の保険が最も高い町となった。保険会社によれば,盗難や破損,未保険車が多いことなどをその理由に挙げている。マルセイユ市では,車5台に1台が未保険となっている。
26日:カンヌ市は,2020年から燃料中の硫黄含有量が0.1%以下のクルーズ船でなければカンヌ港へのアクセスを制限する旨発表した。硫黄含有量を守れていない場合,乗客を下船させることができない。
治安関連
8日:司法警察がパリとマルセイユの間で行われたコカイン供給ルートを摘発し,18人を逮捕,7人が刑務所へ,2人は起訴の上釈放され司法観察となった。時計や絵画,車など数百万ユーロの犯罪資産の他,銃器や秘匿電話・装置も押収された。
8月
2日:北京から中国国際航空就航便がニースに到着した。乗客は184名で,観光客,記者,インフルエンサーら。今後,8月から10月の3か月間週に3便が運航される。
2日:ポアルソン環境連帯移動大臣付副大臣がラ・セーヌ=スュール=メール市(ヴァール県)の海岸を訪問した際に,「プラスティックのない海岸のための憲章」を発表した。2025年までに,海岸のプラスティックゴミをゼロにすることを目指す。
8日:ノルウェージャン・クルーズライン社,シルヴァーシー・クルーズ社及びクリスタル・クルーズ社が,カンヌ市の要求する燃料の硫黄含有量等の入港規制を受け入れる署名を行った。
8日:独企業のFlixtrain社のバス運行子会社Flixbus社が, 2021年までに南仏にバス路線を設けると発表した。パリとニース間を結び,アヴィニョン,アルル,ミラマス,ヴィトロール,マルセイユ,トゥーロン,サン=ラファエル,カンヌとアンティーブを通過する夜行便を走らせる。パリ・トゥルーズ路線も予定している。
17日:マクロン大統領は,ボルム=レ=ミモザ市(ヴァール県)の第二次世界大戦プロヴァンス上陸作戦75周年記念式典に列席した。19日にはプーチン露大統領と会談を行い,8月24-26日に行われるG7に向け,国際情勢について意見交換を行った。
22日:エクス=アン=プロヴァンス市が次世代の町「スマートシティ」を目指す。インターネットを活用して街全体を効率化したり,生活し易くしたりする。予算は年間30万ユーロで4年間を予定している。
治安関連
4日:マルセイユの15区で17歳の少年が銃殺された。警察は,殺害現場が麻薬の密売場所として知られてることから,報復事件と見ている。
30日:レ=ペンヌ=ミラボー市(マルセイユの郊外)のホテルFormule 1で男性2人が銃殺された。警察は麻薬取引に関連した報復とみている。
9月
5日:マルセイユ,ニース,及びトゥーロンで大気汚染を軽減するため,フェリーや大型客船の停泊中のエネルギー供給を電化する予算として,30百万ユーロの計画が発表された。ミュズリエPACA州議会議長は,「2023年までに,3時間から10時間の停泊をする大型船舶の排気をゼロにする」ことを約した。
7日:モンペリエで3千人(当局側発表1,500人)の黄色いベストが集まった。
13日:ブーシュ=ドュ=ローヌ県議会議長兼エクス・マルセイユ・プロヴァンス大都市圏議長のヴァッサル(LR)氏が,2020年に行われるマルセイユ市議会選挙に立候補する旨表明した。
14日:1,500人の黄色いベストがトゥールーズ中心街でデモを行い,一部がマタビオ駅で列車の運行を妨害した。
15日:国会議員でペルピニャン市議のルイ・アリオ氏(RN)が,2020年のペルピニャン市議会選挙に立候補する旨表明した。
19日:ラヴィエ上院議員がマルセイユ市議会選挙に向けた国民連合(RN)の主要候補者のリストを発表した。治安及び移民が選挙キャンペーンにおける主要課題となる。
19日:フィリップ首相が第22回小町例会出席のためユゼス市(ガール県)を訪れた。数百人の市長らと,政府が地方自治体と取り組む問題について話し合った。
19日:モンペリエ空港で8月の利用客数が20万人を超えた。パリ(オルリー空港及びロワッシー空港)との往来の利用客が最も多い。
20日:ムーデン・トゥルーズ市長(LR)が,2020年に行われるトゥールーズ市議会選挙に立候補することを明らかにした。
20日:トゥールーズで,気候変動の危機に対する世界的な示威行為の呼びかけに5千人近い若者が集まってデモを行った。モンペリエやニースでも夫々数百人の高校生がデモを行った。
20日:エクス=アン=プロヴァンスで数百人の若者が気候変動に対するストの呼びかけに応えて示威行為を行い,各国政府の不作為を非難した。
21日:ニースにおいて,温暖化に対する各国政府の不作為に抗議して約千人がデモを行った。音楽を流し,衝突もなく平和的に行われた。
21日:モンペリエで黄色いベスト3~4百人が集まった。13人が逮捕された。
28日:ニースでデモを行うとの全国レベルでの呼びかけに,黄色いベスト数百人が集まった。全国レベルでの呼びかけを優先して活動しており,今回はニースとなった。
29日:モンペリエで,2千人近い人が気候変動に係る7回目の行進が行われた。
治安関連
2日:マルセイユの14区のシテ「MAIL」の商業施設の駐車場で,26歳の男性が銃殺された。警察は麻薬の密売に関わる報復事件と見ている。
13日:スペインとの国境のピレネー=オリアンタル県ル・ブールーの高速道路料金所で,麻薬密輸の疑いで複数の人間が逮捕された。2百万ユーロの現金が車内から発見された。近年,フランスでは,麻薬で年間30億ユーロが売り上げられている。
17日:ベルベ国璽・司法大臣,ダルマナン行動・公会計大臣,カスタネール内務大臣,ニュネス内相付担当長官がマルセイユを訪れ,新たな麻薬対策計画を発表した。麻薬対策事務所(OFAST)を立ち上げ,警察や司法当局が垣根なく情報を共有できるようにする。
17日:スペインとフランスのピレネー=オリアンタル県で,麻薬と人身売買を行っていた大規模な密売網が摘発され,29名(仏側3名)が逮捕された。麻薬やタバコ,野生動物と共に,移民,特に未成年者のフランスへの受入れを行っていた。14か所の捜索が行われ,3.3万ユーロと200キロを超える大麻,その他に車両等が押収された。
21日:1年前から内偵が行われていた,仏領ギアナとトゥールーズの間のコカインの密輸に対する大規模な摘発が行われ,10名ほどが逮捕され,高級車や現金(3万ユーロ以上),拳銃,2キロ以上のコカインが押収された。
24日:税関がガール県タヴェルのA9高速道路サービスエリアで,トラックから1トンの大麻を押収した。スペイン人運転手は,積み荷に大麻があったことを知らなかったと説明している。
10月
1日:パリのペルノ社とマルセイユのリカール社がフランス・ペルノ・リカール社となり,マルセイユに本拠を置くこととなった。1975年に統合されていたが,両社は別組織として運営されていた。今次実質的統合により190ポストが削減される。
2日:PACA州は仏国内でトップ,世界ではカリブに次ぐクルーズ市場であり,2018年には2.5百万人がクルーズを利用し,下船客も増加している。下船客は直接・間接に79百万ユーロを消費し,港湾関連事業,バス・タクシー運転手,ガイドなど 2,450人の雇用と合計430百万ユーロの市場を生み出している。クルーズ船の停泊は各港平均4時間で,陸上で下船客一人36ユーロを消費しており,サン=トロペでは91ユーロに達することもある。アンケート回答乗客の61%が50歳以上,54%が富裕層,49%が定年者,71%がリピーター,45%が4回から10回或いはそれ以上のクルーズ経験者であった。
2日:WTOは,エアバス社への支援への報復措置として欧州の財とサービスに年約75億ドルの制裁を課すことを,米に対し認めた。WTOによって課された最も重い制裁である。この決定は,15年来続いている欧州のエアバス社への補助金に関するエアバス社とボーイング社の係争の一部である。
8日:Corsica Soleは,ジウンカッジョの4つの発電所の一つで蓄電設備のある太陽光発電所の竣工を祝った。6.5ヘクタールの敷地に25,000平方メートルのパネルが設置され,発電量は,5メガワットピーク,7.5メガワット時の蓄電能力を持ち,年間7,000メガワット時,3,500人分を発電する。
9日:国務院はパリの控訴裁判所の判決を破棄し,2015年の政府によるトゥールーズ空港の民営化手続きが有効になった。
18日:ピオラン(ヴォークリューズ県)に,17ヘクタール,4.7万パネルの欧州最大の水上太陽光発電施設が誕生した。発電量は1万人,4,733世帯分に相当し,人口5千人のピオランの需要に十分応えるもの。ボルヌ環境連帯移行大臣が式典に出席した。
19日:アヴィニョンで路面電車が開通した。3年前に工事が開始されていたもので,サン=ロッシュ門とサン=シャマン地区の5キロを結ぶ。
治安関連
1日:対テロ検察局は,40年に亘り4,500件のテロ事件の声明を行い,2014年に活動を停止したFLNC(コルシカ民族解放戦線)と同名で新たに設立された組織について,注視していく旨述べた。
31日:夜,サン・シャルル・マルセイユ駅近くで17歳の男性が銃で撃たれ死亡した。被害者は,強盗,麻薬密売で警察に知られていた。
11月
9日:マルセイユで,居住に適さない住居への不満を表明するため,最大1.5万人がデモを行った。
12日:ル・フィガロ氏が行った調査によれば,人口1万人以上で債務が多い都市52都市の中に,PACA州の18都市とオクシタニー州の2都市が含まれていた。2000年の借り入れがその理由の一つと見られる。2位オーバーニュ,6位アレス,10位ラ・ロンド=レ=モール,11位ラ・セーヌ=スュール=メール,13位ルールド,14位マントン,15位グロエ,16位ル・カネ,21位カルクイランヌ,26位サン=ラファエル,32位グラース,40位リスル=スュール=ラ=ソルグ,41位アンティーブ,45位ニース,46位サン=ローラン=デュ=ヴァール。
16日:ニースで黄色いベスト600人が,運動1年を称えデモを行った。マルセイユでは1,000人ほど,モンペリエでは1,000人以上が集まった。
17日:今月,エアバス社のA320販売機数が15,193機となり,ボーイング737の13,136機を抜いて世界で最も販売された航空機となった。
18日:ドバイ航空ショーの機会に,エアバスの最大の顧客であるエミレーツが,50機のA350を発注したことを明らかにした。契約金額は160億ドル。ア首連の格安航空会社エアー・アラビアもA320系航空機120機の契約を140億ドルで行った。
治安関連
18日:2019年に入って,ブーシュ=デュ=ローヌ県で12人,マルセイユで9人が報復で殺害されている。2018年は同じく23人と12人であった。2017年は県で14人であったが,前年2016年の29人から大きく減少した。マルセイユでの犯行現場は主に14区と15区に集中している。被害者の平均年齢は24歳。
12月
2日:エール・フランス・KLM系LCCトランサヴィア社が、4月3日よりモンペリエを起点とする14路線を就航する旨発表した。6月を目処に、最終的には20路線程度を就航する。
8日:モンペリエで気候変動に関するデモに約1,500人が参加した。
9日:LRがヴァッサル氏を同党の次期マルセイユ市長候補に指名したことから、市長を目指していたジル上院議員がLRを離党した。
9日-14日:マルセイユ市の経済ミッションが訪日し、東京、京都、及び神戸を訪問した。デジタル、バイオヘルス、観光・芸術分野でのプロモーションを行った。
10日:イヴォン・ベルラン・エクス=マルセイユ前大学長がマルセイユ市会議員選挙においてLREMの筆頭候補(市長候補)となったことから、同党のマルセイユ市出身であるアハマダ上院議員が自らが選ばれなかったことに失望を表明しつつも、結束を訴えた。
11日:グリーンピース、環境行動ネットワーク(RAC)、ユニセフが、フランスの主要な12都市の大気汚染への取組みに関する評価を行い、マルセイユは最下位であった。欧州委員会が環境関連の最大の問題としている大気汚染により、フランスでは毎年48,000~67,000人が命を落としており、マルセイユでは約2,500人と見られている。
17日: 各都市で年金改革に反対してデモが行われた。警察発表ではマルセイユ2万人(労組発表20万人)、トゥールーズ1.7万人(同12万人)、モンペリエ1.05万人(2万人)、ペルピニャン6,500人(同1.76万人)、トゥーロン4,400人(同1.5万人)、ニース4,200人(同1.2万人)。
21日: ナノ粒子電子印刷インクを手掛けるジュネジンク社と我が国のミノグループ社との業務提携に係る調印が行われた。
23日:トゥールーズ=ブラニャク空港の資本の49.9%を所有し撤退を模索していた中国系企業連合のCasilが、仏建設大手のEiffage社に5億7百万ユーロで売却した。Casil社は49.9%の資本を3億8百万ユーロで購入しており、4年間で1億99百万ユーロを得たこととなり、加えて28.79百万ユーロの配当も得ていることから、その利益は投資額の73.96%となる。
31日: アルプ=マリティーム県知事は、ニース=コート・ダジュール空港の拡張を承認した。床面積25,000m2が追加されて合計97,765m2となり、現在の1,300万人から2022年までに1,800万人の受け入れを可能とする。
治安関連
29日: マルセイユ14区サン・ジョゼフ地区でカラシニコフ銃の発砲があり、1名が死亡、1名が負傷した。負傷者は巻き添えとみられる。麻薬密売の報復事件と見られ、今年12件目。前年2018年の23件からは減少している。
コルシカ関連
17日:年金改革に反対するデモに、バスティアとアジャクシオで1,700~1,800人が参加した。