安全の手引き
在マルセイユ日本国総領事館
はじめに
「南仏」、「プロヴァンス」、「コートダジュール」といった言葉の響きから、美しい自然や建造物、魅力的な文化などをイメージされる方は多いのではないでしょうか。確かに当地は日本とは異なる美しさを持つ地域であり、今後も是非多くの邦人にお越し頂きたい場所です。しかし、こと治安に関しますと、日本での生活習慣・低い安全意識をそのまま持ち込まれては危険極まりない地域と言え、日本国内旅行のような軽い気持ちで来訪されると盗難等各種被害に遭われる可能性が非常に高いところでもあります。
本手引きは、観光等で南仏を訪れる邦人の皆様や既に南仏で生活されている邦人の皆様を対象とした、当地方で安全で安心な生活を送るための指針を綴っています。一人でも多くの邦人の皆様が本手引きを読むことにより、安全対策の重要性を認識頂いた上で適切な安全対策をとって頂き、南仏生活がより楽しく思い出深いものとなります様祈っております。
なお、本手引きにつきましては今後も随時見直しを行い内容の充実を図っ ていきたいと考えておりますので、実際に当地方で見聞した犯罪情報や有用な安全対策の進言等がございましたら、気軽に当総領事館領事班までご連絡ください。
目次
- 安全対策の基本的心構え
- 最近の当地犯罪発生状況
- 邦人犯罪被害の多い場所
- 具体的な邦人被害事例と防犯対策上の留意点
- (1)車両(特にレンタカー)使用時の犯罪被害
- (2)観光客が多く集まる場所での犯罪被害
- (3)ホテルやレストランでの犯罪被害
- (4)空港、駅構内や周辺地区での犯罪被害
- 犯罪被害に遭ってしまったら
- (1)旅券の盗難・紛失
- (2)クレジットカードの盗難被害
- 緊急事態に備えて
- (1)もし緊急事態が発生したら
- (2)平素の心構え
- (3)テロ対策
- 当総領事館からのお願い
- (1)短期滞在(旅行や出張など)の皆様へ
- (2)3か月以上の長期滞在(在留邦人)の皆様へ
- (3)在マルセイユ総領事館の連絡先
- 主要な連絡先一覧
- 緊急事態に備えてのチェックリスト
1.安全対策の基本的心構え
(1)安全対策の重要性を理解する
まず最初に、犯罪被害に遭わないために安全対策をとることの重要性をご理解ください。確実に犯罪被害遭わない「ベストな手段」は存在しませんが、「ベターな手段」として、「防犯意識を高め」、「防犯対策をとる」ことが挙げられます。日頃から防犯対策をしっかり立てそれを忠実に守っている人とそうでない人とでは、犯罪に遭遇する確率が大きく変わることでしょう。
(2)自分自身のこととして捉える
皆様の身近で犯罪被害に遭った人がいた場合、「注意力が足りないからだ」、「私は絶対大丈夫」と他人事のように捉えることはないでしょうか。それは大きな考え違いです。
犯罪被害はいつ誰の身にも起こり得ます。そして犯罪者にしてみれば「成功した手口を繰り返したい」という心理がありますので、私たちは、不幸にして誰かの身に起こった被害態様をシェアし、同じような被害の再発を食い止めていかなければなりません。
(3)アンテナを張る
日常的に自分が住んでいる地域でどの様な事件が発生しているのかを知ることが重要です。犯罪発生状況に応じた対策がとれるように、新聞・テレビ・ラジオ等で犯罪情報を得るとともに、身近なコミュニティーからも情報を得るようにしましょう。
(4)地域コミュニティーに溶け込む(ネットワーク作りを)
平素から地域社会に溶け込み、信頼できる現地の人との良好な人間関係の構築に努めましょう。そうすれば、現地の生きた治安情報も入ってくるし、いざという時には地域住民の助けも得られるでしょう。
2.最近の当地犯罪発生状況
南仏は、フランスの他地方に比較して移民が多く、近年の経済不況と重なり経済的に恵まれていない彼等が引き起こす犯罪が多いことから、犯罪発生件数も多くなっています。
(1)殺人・強盗事件
殺人・強盗事件ともに、銃(しかもけん銃より自動小銃)を用いた犯罪が数多く発生しています。殺人事件については、そのほとんどがマフィア同士による薬物抗争絡みで発生しており、一般人には影響がないようにも見えますが、彼らは対象者殺害のためには白昼大勢の人が集まっているような場所でも銃を乱射しますので、一般人も油断できない状況にあります。
(2)窃盗事件
マルセイユやニースのような観光地ではすり・置き引き・ひったくり・車上ねらいといった犯罪が毎日発生しています。また地元民としてその場に馴染むことができない以上、観光地でなくてもこれら被害に遭うリスクは常にあります。
この他、運転中のレンタカー車内を狙ったひったくり事件が頻発しており、観光のため当地を訪れ空港から市内に向かう途中で出鼻をくじかれるケースが多く報告されています。
これら盗難被害につきましては、心掛けひとつで被害に遭う可能性を大幅に減らすことができます。
(3)薬物事犯
これまで邦人が薬物犯罪に巻き込まれた(所持・使用)事例はありませんが、大都市圏を中心に警察当局が日々麻薬グループの摘発を行っており、薬物絡みの抗争事件が頻発していることから南仏に違法薬物が蔓延していることは疑いようのない事実です。ふとしたきっかけで売人等からこうした薬物の購入を持ち掛けれることがあるかもしれませんが、これは日本同様に重大な犯罪ですので決して関わらないでください。
また、こうした薬物の影響下にある人間が各種犯罪を敢行するおそれもあります。
(4)交通事故
当地の運転マナーは非常に悪く、もらい事故の発生可能性が高いといえます。ウインカーを出さずに右左折する車(ウインカーと逆方向に曲がる車もあります)や、スピードを出して蛇行運転するスクーターやバイクも非常に多いので、車を運転する方はもちろん、歩行者もお気を付け下さい。歩行者の方は特にロータリー式交差点を横断する際細心の注意を払って下さい。速度を下げずに進入してくるドライバーがいますし、そもそも同所は直線道路と異なりドライバーにとって歩行者の姿を発見しづらい場所です。
3.邦人犯罪被害の多い場所
邦人の犯罪被害(強盗・窃盗)が特に多い町はマルセイユとニースであり、その詳細場所は以下のとおりです。なお、それ以外の町でも観光客が多く集まる町を中心に邦人の方が犯罪被害に遭っており、南仏全域で被害に遭う可能性がありますので充分注意してください。
(1)マルセイユ市
ア 旧港付近
イ 「サン・シャルル駅」構内及び付近一帯
ウ 「カヌビエール通り」及び「アテヌ通り」
エ 「凱旋門」周辺(通称アラブ地区)
オ 「パニエ地区」
カ 市内中心部の駐車場(特に地下)
(2)ニース市
ア 市内トラムの中
イ 「プロムナード・デ・ザングレ通り」
ウ 旧市街の「花市場」周辺
エ ニース・コートダジュール空港内
4.具体的な邦人被害事例と防犯対策上の留意点
(1)車両(特にレンタカー)使用時の犯罪被害
車両(特にレンタカー)を運転中、赤信号や交差点等の一旦停止場所で停止したところ、付けてきたスクーター等の乗車人物から無施錠の扉を開けられ、車内に置いていた手荷物を盗まれる被害が多発しています。手荒い者になると窓ガラスを割り鞄等を強奪するケースもあります。特に、土地に不慣れで防犯対策に無防備な旅行者が運転するレンタカーは格好のターゲットにされています。
また、車両を駐車中盗難被害に遭うケースも多いので、駐車中は絶対に外から見える座席等の上に所持品を置き去りにしないでください。
【事例1】
レンタカーを運転中、2人組の若者が乗車したスクーターが後を付けてきて、赤信号のため停車したところ、スクーター後部に乗車していた男が近付いてきて、無施錠のドアを開け、後部座席に置いていたバッグを盗んで逃走した。(マルセイユ、ニース等)
【事例2】
マルセイユで幅の狭い一方通行の道路を進行中、進入禁止にも関わらず前方から車両が進入しようとしてきたため、運転者が車を停車させたところ、その隙に背後から近付いてきた男が、車両のドアを開けて車内の荷物を盗もうとした。なお、ドアロックをしていたため、犯人はあきらめて逃走した。
【事例3】
アヴィニョン郊外の高速道路のガソリンスタンドで給油した後、事務所で精算するため車を離れた隙に無施錠の車中に置いていた鞄を盗まれた。
【事例4】
マルセイユの地下駐車場に駐めていた車両に戻ろうとしたところ、スクーターに乗車した2人組の男が近付いてきて、「駐車料金の精算方法は分かりますか。」と声を掛けてきたが警戒して無視したところ、いきなりショルダーバッグを引っ張られて盗まれ、スクーターで逃走された。
【事例5】
モンペリエで車を運転中、いきなり後部から追突されたので、追突した車両の運転手と話をするべく降車して車外に出たところ、その隙に若い男が背後から車に近づいてドアを開け、車内に置いていたカバンを盗んで逃走した。
【事例6】
マルセイユ空港でレンタカーを返却するため、空港敷地内のレンタカー営業所の駐車場に到着すると、見知らぬ男が近付いてきて声を掛けてきたため、車外に出て男と話をしていた。その後、男が立ち去ったので車内に置いていた荷物を取り出そうとしたところ、後部座席に置いていた荷物が全てなくなっていた。
【事例7】
トゥーロンにて、夜間レンタカーを長時間運転して疲れたので、高速道路のサービスエリアの駐車場内に駐車して仮眠していたところ、4人組の若い男が窓ガラスを割って運転者を車外に引きずり出し、貴重品を全て奪って逃走した。なおその際、運転者は犯人グループに抵抗したため、反撃に遭い大怪我を負った。
- 《防犯対策上の留意点》
-
- 車両を運転中、必ずドアロックをし窓ガラスも出来る限り閉めましょう。
- レンタカーを借りる場合、必ずドアロック方法を確認してから運転しましょう。
- 車両を運転中及び駐車場に駐車中、外部から見える場所に所持品は一切置かず、貴重品は必ず携行しましょう。
- 車両を運転中、2人乗りのスクーター等が付けてきた時は特に注意を払いましょう。
- 車両を運転中、外から声を掛けられても安易に信用せず、また、その際も窓ガラスは最小限しか開けないようにしましょう。
- 車両を運転中、追突される等の不測の事態が発生した場合、車外に出る際は必ず貴重品を携行し、すぐにドアロックしてください。
(2)観光客が多く集まる場所での犯罪被害
観光客が集まる場所では、特に観光客に的を絞って犯行を繰り返している者がいます。ニースやマルセイユ等の観光地では頻繁に邦人観光客の方が窃盗被害に遭っています。
被害状況は、町中の混雑する場所を歩行中ショルダーバッグやウエストポーチ等の中に入れていた貴重品を盗まれるケースが多く発生しています。また、路上を歩いている際、セカンドバッグやカバンをひったくられる被害も散発しています。なお、ショルダーバッグをたすき掛けにしていたにもかかわらず、無理矢理バッグをひったくられる事件も発生していますので、今後十分注意してください。
【事例1】
アルルの「ゴッホの跳ね橋」観光にやって来た邦人2カップルがけん銃と刃物を持った男3名(うち1名は運転担当)に脅され、持ち物を全て奪われた。犯人の去り際に被害者の1名が犯人を追いかけたところ、けん銃で頭を殴られて負傷した。
【事例2】
マルセイユ旧港沿いの歩道を昼間歩いていたところ、前方から来た男に携行していたショルダーバッグを無理矢理ひったくられた。なお、バッグの紐を引っ張られた弾みで地面に倒れた。男は道路を走行してきたバイクに飛び乗り逃走した。
【事例3】
マルセイユ旧港沿いの歩道を歩行中、前方からジプシー風の女性が話しながら近付いてきたので、そちらの方に気を取られていたところ、その隙に後方から近寄ってきた子供にショルダーバッグの中に入れていた旅券等をすられた。
【事例4】
ニースで満員のトラムに乗車しようとしたところ、何者かに後ろから押され、気付いた時にはショルダーバッグの中に入れていた財布をすられていた。直前まで財布は確認していたので、押された時にショルダーバッグの中に手を入れられ財布を盗まれたものに違いない。
【事例5】
ニース市内旧市街を観光中、知らないうちに携行していたショルダーバッグから財布等の貴重品をすられた。
【事例6】
ニースの美術館で絵画を鑑賞中、気が付けば、背負っていたデイバッグの側面がナイフのようなもので切られており、中に入れていた旅券等在中のポーチがなくなっていた。
【事例7】
アルルの跳ね橋付近を観光中、複数の若者が近付いてきて、いきなり催涙スプレーのようなものを顔面に吹き付けられ、ひるんだ隙に所持していたバッグを強奪された。
- 《防犯対策上の留意点》
-
- 強盗に遭遇した場合、逃げられなければ貴重品は諦め、身の安全の確保を最優先にして無抵抗に徹しましょう。
- 貴重品はなるべく持ち歩かないようにしましょう。
- 観光地ではショルダーバッグやウエストポーチは特に狙われやすいので、なるべく携行しない方が賢明です。もし、携行する際はショルダーバッグの場合、バッグが常に視界に入るよう保持してください。
- バッグをたすき掛けにすることは防犯上ある程度有効ですが、反面、ひったくり犯人のバイク等に引きずられて大怪我をするリスクもあります。可能な限りバッグ及び紐を上着の下に隠して狙われにくいようにしてください。
- マルセイユ市やニース市では、多くの邦人がジプシー風の者等から話し掛けられた隙にすり被害に逢っています。気安く声を掛けてくる者は相手にしないようにしてください。
(3)ホテルやレストランでの犯罪被害
レストランで食事中、離席中に座席付近に置いていた貴重品入れ等を盗まれるケースが複数発生しています。また、ホテルでは、部屋に置いていた貴重品がなくなるという被害が発生しています。部屋の中にある金庫(セーフティボックス)は絶対の信用があるわけではなく、また、高級ホテルであっても同種のトラブルが起きています。
【事例1】
ニースのホテル内のレストランでビュッフェスタイルの食事を取りに行っていた間、座席に置いていた鞄を盗まれた。
【事例2】
ホテルのフロントでチェック・インをしている間に、足下に置いていた荷物がなくなっていた。(ニース、マルセイユ)
【事例3】
宿泊したホテルの部屋にあった金庫の中に現金や旅券等の貴重品を収納して観光に出かけ、外出先から帰ってみると、中に入れていた物が全てなくなっていた。このことをホテルのフロントに申し出ても、「部屋に入った不審者はいない」等と主張されるだけであった。(マルセイユ、トゥールーズ、モンペリエ、ニース等)
《防犯対策上の留意点》
-
- 高級ホテルの宿泊部屋に置かれているセーフティボックスでも絶対の信用があるわけではありません。貴重品や貴金属類は、ホテルのフロント等信用のおける従業員に預けるか、自分自身で携帯するようにしてください。
- レストランでは、ビュッフェやトイレ等で座席を離れる際は、貴重品を必ず携行してください。
(4)空港、駅構内や周辺地区での犯罪被害
空港や駅及びその周辺は旅行者等不特定多数の人が利用するため人目に付きにくく、窃盗被害が多く報告されています。
【事例1】
マルセイユ・サンシャルル駅構内のエスカレーターに乗車中、後方から女性2人組が駆け上ってきて一瞬隣に立ち、走って上方へ去って行った。後で確認したところ、ショルダーバッグから旅券等が盗まれていた。
【事例2】
マルセイユ・サンシャルル駅近くの路上を歩行中、前方から男が「煙草を分けてください。」と言いながら近付いてきたので気を取られていたところ、後方から近付いてきた男に腰に掛けていたウエストポーチを引っ張られ盗まれた。
【事例3】
マルセイユ空港に到着後、ターンテーブルで機内に預けていたスーツケースを受け取ろうと流れてくる荷物に気を取られている間に、付近に置いていた手荷物のバッグを何者かに盗まれた。
【事例4】
空港の航空会社のチェックインカウンターで、航空券の発券手続きに気を取られている間に、付近に置いていた手荷物のカバンを何者かに盗まれた。(マルセイユ、ニース)
【事例5】
ニースにて夜行列車で移動中にうたた寝をしていたところ、上着の内ポケットに入れていた財布を盗まれてしまった。(ニース)
【事例6】
マルセイユ・サンシャルル駅に到着して待合室で休憩していたところ、見知らぬ者から話しかけられ、応対している間に、手荷物のハンドバッグから財布等の貴重品がなくなっていた。
- 《防犯対策上の留意点》
-
- 一番の被害防止策は、「隙を見せないこと」です。常に隙を作らないように気を配ることは大変ですが、今いる場所の危険度や周囲の状況に応じて、時々、貴重品が入っているカバンやバッグ、ポケットの中を意識してみるのも有効な防犯対策の一つです。
- また、見知らぬ者からいきなり話しかけられたり、近づいてきたりした時には、軽々しく信用せずに十分注意することが必要です。
5.犯罪被害に遭ってしまったら
(1)旅券の盗難・紛失
旅券の盗難に遭ったり旅券を紛失した場合、再発給等の手続きをとる必要があります。
①旅券(10年用もしくは5年用)の新規発給
②「帰国のための渡航書」の発給
※日本に帰るためだけの片道の渡航文書です。
【発給申請に必要な書類】
① 警察の盗難届証明書(Récépissé de déclaration de vol)
→最寄りの警察署へ出向いて入手して下さい。
盗難被害に関して海外旅行傷害保険でカバーされることがあり、同証明書はその際にも必要となります。
② 写真2葉(縦4.5センチメートル×横3.5センチメートル、最近6か月以内に撮影のもの)
③ 戸籍謄本または戸籍抄本1通(6か月以内のもの)
④ 本人確認のできる書類(日本の運転免許証など)
⑤ 日本への航空券予約票など(「帰国のための渡航書」の申請時のみ)
発給にかかる手数料は毎年度為替レートにより変更しております。
詳しくは当総領事館の窓口までご相談下さい。
(2)クレジットカードの盗難被害
早急にクレジットカードの使用停止手続きを取りましょう。ただし、この手続きは、本人以外はできませんのでご自身で行ってください。
【主要クレジットカードの連絡先】
- ① アメリカンエキスプレス
- 電話:0-800-908-391(グリーン、プラチナカード、24時間日本語サービス)
0-800-908-629(ゴールドカード、24時間日本語サービス) - ② VISAカード
- 電話:0-800-919-552
- ③ マスターカード
- 電話:0-800-901-387(英、仏語)
- ④ JCBカード
- 電話:00-800-0009-0009
- ⑤ UCカード
- 電話:00-800-8005-8005
- ⑥ DCカード
- 電話:00-800-3770-1818
- ⑦ ダイナースカード
- 電話:00-81-3-4330-0024(コレクトコール可)
- ⑧ カルトブルー
- 電話:0-892-705-705(仏語)
6.緊急事態に備えて
(1)もし緊急事態が発生したら
大規模テロ事件や自然災害等の緊急事態発生時に最も重要なものは「情報」です。具体的には、どこでどのようなことが起きているのか、家族や知人、同僚等の安否は確認できたか、そして、この事態にどのように対処すればよいか等の情報を集めることです。そして、ご自身の状況等を日本のご家族等には必ずお知らせください。
(2)平素の心構え
緊急事態の発生に備え、平素から関係連絡先を書いたリストを作成して随時見直しをしたり、避難場所を確認しておく必要があります。そして、緊急事態発生時は、流言飛語が飛び交うことを踏まえ、確実な情報に基づいて、落ち着いて行動することも必要です。
なお、フランスでは、緊急事態に際して物資が不足するという事態は基本的には想定されませんが、付近での買い物が一時的に困難になる可能性は十分にあり得ますので、ラジオや懐中電灯、若干の食料、飲料水、乾電池といったものをある程度備蓄しておくことをお勧めします。
(3)テロ対策
本年1月、パリでテロ事件が連続して発生し、世界中を震撼させました。
「テロ」については国際的に確立された定義は存在していませんが、一般的に特定の主義主張に基づき、国家等にその受け入れを強要し、または社会に恐怖等を与える目的で行われる人の殺傷行為等をさすものとされています。
以下、フランスでのテロ概要について説明するとともに、その対策を説明いたしますので、十分ご留意願います。
ア フランスのテロ概要
フランスにおいては、数年前までは目に見えて差し迫ったテロの脅威は見られませんでした。しかし、本年1月にパリで発生した「シャルリー・エブド」社襲撃テロ事件とユダヤ食料品店襲撃・立て籠もり事件のように、仏国内で今だかつてない大規模テロが発生し、今後も同規模のテロが起こらないとも限らない状況にあります。
この他南仏のテロ関連のリスクとしては、昔から挙げられてきた「コルシカ独立運動」がありますが、コルシカ島では近年その勢力に陰りが見られます。しかし、依然として独立運動家が爆破事件等を敢行していますので、引き続き注意が必要です。
- ① イスラム過激派
- 現在まで、イスラム過激派はジハーディストを募るためインターネット上で教義を主張する等し、特に思想に影響を受けやすい若者をターゲットにリクルートしてきました。実際、現在までにフランスでは、インターネットを通じてイスラム過激派のメンバーと接触した人物や、アフガニスタン等の戦闘地域から帰国したジハーディストが逮捕されています。また、本年2月にISIL(イラク・レバントのイスラム国)がフランスにいるイスラム教徒に対してさらなるテロを行うよう呼び掛ける映像を発出していることからも、今後細心の注意が必要です。
- ② コルシカ独立運動
- 往時のような激しさは見られなくなったものの、依然コルシカ独立を支持する一部過激派が爆破事件を散発させています。独立を支持する島民においても大多数は暴力に訴える方法を支持していませんが、一度爆破事件が発生すればその被害は甚大ですので、観光等で訪問される際は充分気を付けてください。
イ 対策
- ① 情報を収集する。
- 最新のテロ・誘拐事件に関する情報を入手するとともに、これら事件を惹起するテロ組織等に関する情報に留意してください。また、フランス国内だけではなくフランス国外の動向にも関心を持ち、フランス政府の対テロ政策等には特に留意してください。
- ② 標的とされやすい場所に近付かない。
- 今後起こり得るテロを大きく分けると、「無差別テロ」と「特定施設等を標的としたテロ」の2種類となりましょう。無差別テロ対策については、「多くの人が集まる場所になるべく行かない」ことが最善の策といえますが、南仏で楽しく生活していく中で人混みや各種イベントを避けることは非常に難しいと思われます。そこで、少なくとも特定の施設等を標的としたテロに巻き込まれないようにお気を付け下さい。現時点でテロの対象になり得る施設には、ユダヤ系各種施設や警察・軍などの治安機関等が挙げられます。また、パリでのテロ事件発生以降、街の至る所を武装官憲がパトロールしており、体感治安を上げる一定の効果を出しているところですが、本年2月にはテロ警戒中の兵士が襲撃される事件も発生しておりますので、彼らを狙ったテロ事件も起こり得ることを念頭に置いて行動して下さい。
- ③ 万が一現場に居合わせたら...。
- 上記のような予防策を講じて慎重に行動していても、運悪くテロの現場に居合わせてしまうことはあり得るでしょう。残念ながらそのような事態に遭遇してしまった場合、次善の策として「速やかに現場を離れる」ことを最優先させて下さい。現場に留まることで第二のテロ攻撃を受ける可能性もありますので、無理に状況を把握しようとせず、その場を離れて下さい。
7.当総領事館からのお願い
(1)短期滞在(旅行や出張など)の皆様へ
① 意識を海外モードにしましょう
海外で犯罪被害に巻き込まれたり、事件や事故に巻き込まれたりしないためには、まず、「意識」を海外モードにしておく必要があります。こうした「意識」が、予期せぬ危機に遭遇した場合に、とっさの判断や行動で被害を防ぐ(被害を最小限に止める)ことを可能にします。
② 海外旅行傷害保険には是非加入しましょう
トラブル防止にいくら注意を払っていても、事件や事故に巻き込まれないとは限りません。健康に自信があっても、自分だけは大丈夫と思ってはいけません。海外では日本と違う環境でのストレスや疲労により、思いがけない病気にかかる可能性もあります。また、列車やバス等の事故にいつ巻き込まれるかもしれません。また、海外での医療費は日本と比較すると高額になるケースが多いので、保険に加入しておくことは大切です。ちなみに、「限度額1,000万円の保険」と聞くと「これだけ保証してもらえれば充分」と思われるかもしれませんが、万が一病院へ緊急搬送され集中治療室に入らざるを得ない事態となった場合、1,000万円程度の保証では1ヶ月も持ちません。可能な限り高額保証のプランを選ばれることをお勧めします。
【事例】カンヌ市で交通事故に遭った邦人がドクターヘリでマルセイユに搬送され、緊急手術の結果一命を取り留めたが、クレジットカード付帯保険しか加入していなかったため、後日病院から2千万円の搬送費・治療費を請求された。
③ 旅行日程は必ずご家族に知らせましょう
個人で海外旅行する場合、万一、旅行先で緊急事態や大規模な事件・事故、自然災害等が発生して巻き込まれた場合に備え、ご家族には、旅行日程や滞在先の連絡先等を必ず出発前に知らせておきましょう。
海外旅行傷害保険に加入していると、貴重品の盗難や遺失時の対価、事故や病気の際の医療費や移送費等が補償されるほか、保険会社によってはトラブルに際し、通訳の手配サービスや緊急のキャッシングサービス等も盛り込んでいます。なお、クレジットカードには、海外旅行傷害保険特約の付いたものもありますが、補償の限度額やサービスの範囲はカードにより様々ですので、保険内容をしっかりと確認し、可能な限り充実した保険に加入することをお勧めします。
④「たびレジ」に登録しましょう
3ヶ月未満の短期滞在邦人におかれては、外務省の海外安全HPから「たびレジ」登録をすることが可能となりました(平成26年~)。
この登録をしておくことにより、旅行中にテロや大災害が起きた際在外公館からの緊急メールを受信することができ、また在留届を提出した長期滞在者の方々と同様に安否確認の対象者となりますので、安全対策の一環として事前登録しておくことを強くお勧めします。
(2)3か月以上の長期滞在(在留邦人)の皆様へ
① 在留届を必ず提出しましょう
旅券法第16条で、外国に住所又は居所を定めて3か月以上滞在する人は、大使館、総領事館等に在留届を提出することが義務づけられています。在留届が提出されていなければ、緊急事態が発生した場合等に必要な安否確認や日本のご家族への連絡ができません。在留届の提出方法は当総領事館ホームページhttp://www.marseille.fr.emb-japan.go.jp/jp/ryouji/zairyu/zairyu.html をご覧頂くか、下記の在留届電子システム【ORR net】よりお手続きをお願いします。
なお、当地を出国する場合(短期間の一時帰国を除く)には、転出届の提出をお忘れなきようお願いいたします。
② 当総領事館メールマガジン登録
当総領事館では、メールマガジンを毎月1回程度発信しています。このメールマガジンでは、皆様がお住まいの地域の治安情報、出張サービスの予定、お役立ち情報や各種文化行事の予定等をお知らせしており、在留邦人の皆様からも好評を得ております。読者登録は無料で、当総領事館ホームページから簡単に登録・解除ができますので、是非ご利用下さい(基本的に、在留届提出済みの方全員及び希望者に配信しております)。
③ 短波ラジオの重要性を再認識してください
インターネットや携帯電話機が普及した現在、短波ラジオをお持ちの方は少なくなったと思われます。しかし、自然災害や大規模テロ等が発生した場合、インターネットや携帯電話機は回線が切れたりパンクしてしまう可能性が高く、非常時の情報収集ツールとしては脆弱な側面があります。そこで現在、短波ラジオの重要性が再認識されています。
周波数が変更する場合もございますので、定期的に以下HPから最新の周波数や放送時間などを把握しておいてください。
・NHKワールド(ラジオジャパン):
http://www3.nhk.or.jp/nhkworld/
※平成26年2月現在、英語での放送のみ受信可能
周波数: 13640kHz
放送時間: 6:00~6:30
(3)在マルセイユ総領事館の連絡先
代表電話番号:04-91-16-81-81(夜間、土日等の閉館時でもつながります。)
FAX番号:04-91-72-55-46
当総領事館領事班メールアドレス:cgm8@my.mofa.go.jp
8.主要な連絡先一覧
機関名 |
電話番号 |
住所 ・ 備考 |
在フランス日本大使館 |
01.48.88.62.00 |
7, avenue Hoche 75008 Paris |
在ストラスブール |
03.88.52.85.00 |
"Tour Europe" 20, Place des Halles 67000 |
在リヨン出張駐在官事 |
04.37.47.55.00 |
131, boulevard Stalingrad |
入国管理局 |
04.91.28.24.24 |
16, rue Antoine Zattara 13003 Marseille |
マルセイユ市役所 |
04.91.55.11.11 |
Quai du Port 13002 Marseille |
マルセイユ中央警察署 |
04.91.39.80.00 |
2, rue Antoine Becker 13002 Marseille |
マルセイユ8区警察署 |
04.84.35.33.00 |
69, avenue Haifa 13008 Marseille |
マルセイユ9区警察署 |
04.91.40.91.11 |
9, rue Raymond Cayol 13009 Marseille |
(緊急) 救急車 |
15 |
|
マルセイユ観光局 |
08.26.50.05.00 |
4, La Canebiere 13001 Marseille |
マルセイユ国際空港 |
04.42.14.14.14 |
BP 7 Aeroport 13727 Marignane CEDEX |
SNCF |
3635 |
|
レンタカー HERTZ |
04.91.14.04.20 |
83, bd National 13008 Marseille |
救急医師 (SOS Medecins) |
04.91.52.91.52 |
45, rue Suez 13007 Marseille |
医療機関一覧
Hopital de la Timone |
Bd.Jean Moulin 13005 Marseille |
04.91.38.67.76 |
Hopital Nord |
Chemin des Bourrellys 13015 Marseille |
08.25.80.09.50 |
Hopital Ambroise Paree |
1, rue d’Eylau 13006 Marseille |
04.91.83.38.38 |
Hopital Conception |
147, bd.Baille 13005 Marseille |
04.91.38.30.00 |
Hopital Saint Joseph |
26, bd.Louvain 13008 Marseille |
04.91.80.65.00 |
Hopital Sainte-Marguerite |
270, bd.Ste-Marguerite 13009 Marseille |
04.91.38.00.00 |
アメリカン・ホスピタル・ |
63, bd Victor Hugo 92202 Neuilly sur |
01.46.41.25.15 |
9.緊急事態に備えてのチェックリスト
品 名 |
チ ェ ッ ク 項 目 |
チェック欄 |
旅 券
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・6ヶ月以上の残存有効期間があること |
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滞在許可証 |
・いつでも持ち出せる状態にしておく |
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現 金 |
・家族全員が、10日間生活できる程度の現金を準備 |
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貴 金 属 |
・旅券同様、直ちに持ち出せるようにしておく
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自 動 車 |
・整備を怠らず、燃料は常に半分以上保っておく |
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衣 類 |
・麻、綿等吸湿性、耐暑性に富む長袖・長ズボン等を直ぐ持ち出せるようにしておく |
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履 物 |
・履きやすく、底の丈夫なものを選ぶ |
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洗面用具等 |
・タオル、石鹸、歯ブラシ、歯磨等 |
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非常用食料 |
・約10日分の米、調味料、缶詰類、インスタント食品、粉ミルク、ミネラルウォーター等 |
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医 薬 品 等 |
・常備薬、外傷薬、衛生綿、包帯、バンドエイド |
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ラ ジ オ
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・NHKのラジオジャパン、BBC、VOA等の短波、AM・FM放送受信可能な電池使用のもの |
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そ の 他
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・ヘルメット、防災頭巾、ライト、ライター、ろうそく、マッチ、ナイフ、缶切り、栓抜き、紙食器 |
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