2017年の主な出来事
1月
2日:鳥インフルエンザ(N5H8)の蔓延予防のため、ジェルス、タルヌ、ロット=エ=ガロンヌ、アヴェロン県他で感染の認められた地域周辺にある飼育農家の鴨や鵞鳥が殺処分になり関係者は再び大打撃を蒙ることに。農相は、感染ないし処分対象となった農家に3月初め賠償金を交付する旨発表。農民連盟は、一部企業によって分業化された鴨飼育の生産体制に感染の根拠があると主張。
6日:ニースの軽罪裁判所は、イタリアからフランスに入国した3人のエリトリア移民の移動に手を貸した国立科学研究所(CNRS)研究教員(45歳仏人男性。ソフィア・アンティポリス大学勤務)に対し、「(移民達の)尊厳を護るために行動した」として無罪判決を言い渡した。検察は、「救助は可能で義務でもあるが、滞在・移動の幇助は不可能」として執行猶予付き6ヶ月の禁固を求刑していた。2012年以降、法は、「越境に手を貸そうとする者は、無償かつ相手の命が危険に晒されていると判断されるなら罪に問われない」と定めている。 今回判決に対し、エストロッジPACA州議会議長(共和主義者党)は、「アフリカからの密入国者に手を貸すことを奨励する悪例」と批判。アルプ・マリティム県にあるロヤ渓谷では2年来、住民が移民の国境越えに手を貸す事例が後を絶たないという事実がある。
11日:エアバスは、2016年731機を受注し、米ボーイング社(668機)を凌いだ。ただし納入機数(688機)では下回り、ボーイング(748機)が世界一の座を占めた。(航空機納入時に顧客から支払いが行なわれるため納入機数が業績を決めるとされている。)A320型が大半(607機)を占める一方、超大型機A380は皆無だった。両社共に向こう8年間の航空機生産を保障する累積受注を抱えており、無理をして生産増加をめざす意志はない由。
20日:トゥールーズ・ブラニャクにあるターボ・プロップ機製造企業ATR社は、日本エアコミューター(JAC)社にATR42−600機型(48席)を納入した。2015年に同社より受注した9機中の第1号機。ATR社(2015年、東京支店開設)にとっては日本市場初進出機となり、日本からは2025年までに約100機の発注があると期待している。
治安関連
12日:ブーシュ=デュ=ローヌ警察知事によると、2016年マルセイユでは29人が大型犯罪(報復事件)の犠牲となって死亡(2015年19人)、麻薬売買50%以上増、空き巣狙いは変化無し。凶悪犯罪は減少傾向に。テロの危険性に触れて「(マルセイユでも)危険は多様な形で潜在しており油断は禁物」と警鐘を鳴らした。
2月
19日:オクシタニー州(フランス)と南カタロニア州(スペイン)の間に欧州地域圏協定が締結された。モンペリエ-バルセロナ間高速鉄道、経済(ディジタル革新)、他地域への流出不可能な雇用の創出、気候変動、移民受け入れ等について協議されることとなる。本部はペルピニャンに。
20日:地域健康環境参加調査(EPSEAL) によると、フォス、ラヴェラ等のベール潟(ブーシュ・デュ・ローヌ県)周辺都市において肺・腎臓・膀胱ガンや急性白血病、梗塞等の発生率が仏平均を異常に上回っているという結果が出た。石油化学コンビナートによる環境汚染との関連の可能性も含めて調査の確認が行われる予定。
28日:コルシカの東側の海岸線が1970年代から波の侵食を受けて、家屋とりわけ観光関連施設への被害が深刻化しつつある。1973年に建設されたタヴェルナ港(オート・コルス県サンタ・マリア・ポージュ在)が原因とみられ、環境保護論者達は、適切な予防対策を怠ったとして仏政府を欧州に訴えている。
治安関連
1日:エクサン=プロヴァンスにある回教礼拝所に対し、内相はイスラム過激主義宣伝の疑いで閉鎖命令を下した。右礼拝所はモスクではなく、2016年2月から警察当局の監視下に置かれていたが、「その機能及び(礼拝所に)通う者に鑑みて治安及び公共秩序に対する深刻な脅威となる」と判断されたもの。礼拝所では、ジハードの正当性、他宗教・宗派に対する憎悪や排斥を唱え、ユダヤ人への敵愾心を煽っていた。地元には閉鎖的な地域社会が形成され、児童の中には数ヶ月前から通学を止めた者もある。
2日:トゥールーズの男子高校生(19歳)がインターネット上で「イスラム国」の「テロリズムを礼賛」し、「挑発」した廉で司法警察に逮捕された。同人は、2016年にも同じ理由で警察の調べを受け、起訴は免れたが司法監視下に置かれた経緯あり。
10日:直近のテロ行為を企んでいた4人(16歳女、20、26、33歳男)がモンペリエ近郊で逮捕された。家宅捜査では爆発物が押収された。どこで、どのようにテロを実行しようとしていたかは不明。本件に関連して21日、マルセイユとモンペリエで男2人(19歳と27歳)が逮捕され、カラシニコフやナイフ、ジハディスト宣伝文書等が押収された。
3月
4日:Pプロヴァンス=アルプ=コート・ダジュール(PACA)州代表団がサン・ディエゴ市(カリフォルニア州)を訪ね、経済協力協定を結んだ。PACAでは、これに中国(広東省)、ロシア、日本を加えた計4カ国を経済協力の相手国に絞り、関係強化に努める意向。
16日:トゥーロン市を訪れたオランド大統領は、連合国の南仏上陸記念館の改装式の席上、仏文化の持つ意味(世界が仏に認める文化的名声、そこから派生する文化関連産業の重要性、さらには雇用への波及効果)を例にとり、また「仏は自らに閉じこもる時、仏でなくなる」と述べて、国民戦線(FN)を批判した。前後してマリニャヌ市を訪れたカズナーヴ首相も、かつてのFN市政期の「暗黒」を説明。任期満了を前に両人は、万難を排してマリーヌ・ルペンの大統領職選出を阻もうとしている。
24日:ジャーマン・ウィングス機墜落事故2周年追悼式典がル ヴェルネ及びディーニュ・レ・バン(アルプ・ド・オート・プロヴァンス県)で行なわれた。
26日:カリー=ル=ルエ(ブーシュ=デュ=ローヌ県)の企業がFlyboard Air(ケロシンを燃料とする超小型ジェット6機を推進力に飛行する装置。高度3000mを時速150kmで10分飛行可能の由)を試験開発中のところ、警察当局から、航行・飛行の許可を受けていないとの理由で使用禁止に。軍部も関心を示す高度先端技術を育成しようとしないフランスの旧態依然たる体質に、企業家は米国行きも検討。
27日:エリニャク・コルシカ知事暗殺事件(1998年)で容疑者として拘束された31人の内9人が、司法決定が下されるまでの18年間拘束され、当事者間の尋問も実施されなかったこと、また不起訴決定(2016年6月)にも拘らず司法監督下におかれたことは不法として国を訴えた件につき、パリ大審裁判所は、国に「重過失」のあったことを認め、各人に10万ユーロの慰謝料と裁判費用の負担を命じた(経済的賠償は認めず)。
30日:ニーム市にある大流通店舗でガール県葡萄酒製造者組合(SVG)の数十名が、「地元の製造所は飽和状態。ガール県内では仏産品しか販売させない。」とスペイン産葡萄酒を破壊し抗議した。前週には、州葡萄酒製造活動委員会(Crav)による仏有数の葡萄酒買い付け業者事務所の放火(エロー県ベズィエ)や、仲買業者を狙った行為(同県サン=フェリックス=ド=ロデーズ)があり、経営危機に追い込まれた製造業者の苛立ちが高まりつつある。
治安関連
{19日:モハメッド・メラによるテロ事件後5年を経てのユダヤ人地域社会の心境。事件後、不安を宥めようとする様々の言説にも関わらず、フランスのユダヤ人は、自分達が理解されず、放っておかれ、脅かされているかのように感じた。イスラエル移住の道を選ぶ者もあった。イスラエルは戦時下にあるが、保護されているとユダヤ人が感じられる国でもある。(移民は、2011年1899人、2012年1919人、2013年7238人、2014年7835人と増え続け、2016年5000人に減少。但し、2016年調査では、全仏ユダヤ人50万人の内40%(20万人)が移住を考えていた。)その後の一連の出来事(2015年のバタクラン劇場及びフランス国立競技場でのテロ事件。2016年のニースでの7月14日テロ事件)が図らずも脅威は誰彼なしに迫っているとの認識を与え、ユダヤ人の不安を和らげた。とはいえ日常生活における不安感は増大し、安全策も軒並み増えた。監視カメラ設置、警備の強化(警備に当る親たちの中には格闘技を習う者や、学校周辺を見回る者もいる)はもとより、シナゴーグから帰る際は小集団で行動し、日常においてはユダヤ人とさとられないように振舞うことを子供にしつけるなどしている。}
4月
1日:エクサン・プロヴァンスにあるアップル販売店のガラス外壁をアタック(市民支援のために金融取引への課税を求める協会)活動家50人が塗りつぶして、同社による税金逃れ・経営の不透明性を告発した。欧州であげた利益をアイルランドに送金することで2%以下という低率の税を享受していることに加え、ルクセンブルグとも秘密協定を結び2150億ドルを税規制から免れさせていると抗議。5日にはマルセイユのマクドナルドがアタックの標的に。
2日:トゥールーズ市は、フランスで婚姻数最多の自治体だが、年間100件が偽装結婚の疑いで拒否されている。担当者は、仮に現行の調査が存在しなければ、2014年以来4000件に上る婚姻数は倍に達しているであろうと推測している。ただし、偽装を暴くことは容易ではなく、当事者同士が意図的に図る場合もあれば、一人が相手に騙されての場合もあり、その際には証明は一層困難となる。婚姻成立後6ヶ月以内に偽装が判明した場合には、婚姻は取り消される。
19日:コルシカへのコカインの浸透が進んでいる。司法警察の捜査対象は、FLNCによる武装放棄声明(2014年6月)以来、テロ活動から麻薬取締りに向けられるようになっている。
22日:「地球の日」、マルセイユで科学研究者約1000名が蒙昧主義に反対してデモを実施。米大統領を始めとする地球温暖化を否定する言説に見られるように、時々の政治的権力の意向に則していないために科学的事実を否認する、あるいは公の討論において科学的事実が無視され信条に基づいた意見に取って代わられるといった傾向に対し警鐘を鳴らそうとするもの。
23日:大統領選挙第一回投票管内結果(得票率順) 全仏ではマクロンとル ペンが第2回投票に進出を決めたのに対し、管内では、PACA州及びコルシカでル ペンとフィヨンの極右及び右派が上位を制し、オクシタニー州ではル ペンとマクロン、オーヴェルニュ=ローヌ=アルプでマクロンとル ペンという結果となった。コルシカ及びオクシタニー州でFNの伸びが著しく、いずれの州でも左派メランションが健闘したのに対して、社会党のアモンは振るわず、同党の低落傾向に歯止めは利かなかった。
治安関連
1日:ルヴァン(アルプ=マリティム県)近郊で家宅捜索の結果、女子2名(14歳と17歳)がテロ行為を計画していた容疑で尋問を受けた。武器は発見されていない。ニースのテロ対策部で捜査を続行中。
{8日:バスク独立運動(ETA)が武器の保管場所を告知し、本格的武装放棄に入った。残されていた8箇所に及ぶ武器及び爆発物の秘匿場所の一覧を仏当局に提供したもので、それらはスペインと国境を接するピレネ・アトランティック県に存していた(同県は当館管外。ただしETAは仏、特に南西仏を後方基地としていたので、活動家が県境を越えて管内に潜伏、行動し、逮捕されるに至った経緯がある)。フェケル内相は、「異論の余地のない重要出来事」と評価。ETAは2011年に武装闘争放棄を宣言したが、欧州連合はその後も「テロ組織」に分類しており、今回初めて「完全な武装放棄」を認めることとなった。}
18日:仏大統領選を数日後に控え、テロ行為を企んでいた疑いで二人の男(23及び29歳)がマルセイユで検挙された。銃、爆発物も押収。25日、ナンシー及びミラマスで上記の男達と関係を持っていた容疑で4人が検挙された。
5月
1日:大統領選第2回投票を控えてのメーデーで、労組は極右候補選出の阻止を図って示威行動を組んだが一体となることはなかった。トゥールーズでは約1万人がデモ行進に参加。 3日、アヴィニヨンでは文化関係者を中心に反FN集会が実施された。
{7日:大統領選第二回投票。エマニュエル・マクロン(得票率66.10%)がマリーヌ・ルペン(同33.90%)を排して大統領に選出。 17日:エドアール・フィリップ内閣誕生。}
9日:マリオン・マレシャル=ルペン(FN)がPACA州議会議員職を辞任し、次期国民議会議員選挙にも不出馬、政界から一時退く旨表明した。
20日:地中海を航行する豪華客船の増加に伴い、乗客による寄港地での費消が地元経済に潤いをもたらし歓迎される一方で、寄港地周辺住民に及ぼす硫黄酸化物、窒素酸化物並びに粒子状物質(PM)による大気汚染に警鐘が鳴らされている。船舶用重油は車両用重油に比べて汚染度が1500倍から3500倍高く、マルセイユでは窒素酸化物の33%、粒子状物質の13%が海運業に由来しているとみなされている。
24日:コルシカ職業・商業・農業会議所、コルシカ労働者組合等15組織が署名した「雇用についての地元憲章」が物議を醸している。憲章は、雇用・職業訓練・経済発展に関して、複数候補者が十分な能力を有する場合、地元に関心を寄せる者(島出身者、島居住者、コルシカ語の話者)が優先さるべしと規定。民族主義者らの選挙公約の1で、提唱者のタラモニ(コルシカ議会)議長は、「2.2万人の失業者、6万人の貧困者を抱えるコルシカ(人口32万人)にとって、実情に即した解決策を図ることは緊要」と述べて憲章を擁護。知事は、雇用差別につながり、企業の司法責任が問われることになろうと指摘。経営者連合も、「同等の能力を有する場合」ではなく、「十分な能力を有する場合」とした規定に不承知。労組CGTも反対。
30日:マルセイユで社会福祉士、心理療法士、青少年指導員らが、県議会に対して未成年者の保護義務を果たすよう求めてストライキを実施し抗議した。ブーシュ=デュ=ローヌ県では、家庭崩壊、家庭内(姓)暴力等の理由で司法判断に基づいて親元を離された未成年者が3193名(2015年に比べ593人増)いるが、保護施設や里親の数が足りず(同時期に里親650の内230が受け入れを中止した)、幼児が青少年施設に預けられて「壊され」たり、受け入れ施設のない若者が無宿者と日中を過ごしたりしている。未成年を保護するための制度が正常に機能していない現状をとらえて、関係者は、「将来の人間爆弾を製造しつつある」と警鐘を鳴らしている。
30日:鳥インフルエンザ(H5N8)蔓延の対抗策として実施されていた5ヶ月に及ぶ隔離期間が終了し、南西フランスの鴨・鵞鳥養育農家では作業を再開しつつある。フランス全体では、今年1200万羽が不足すると考えられている(殺処分された450万羽及び生まれるはずであった欠損分の雛750万羽の計)。新たな危機に備えての防護対策の強化、それに伴う経費の増加、政府助成金の支払い遅延等によって養育農家の経営が深刻を極める中、フォア・グラ需要の高まる年末には値上がりは必至とみられている。
治安関連
29日:カルカッソンヌにあるケバブ店で家宅捜査が実施され、ジハード資金調達網に関わった容疑で店主(50代男性)が連行された。
6月
3日:ニースのエストロッジ市長は、市中に開店したイスラム金融業ノーラスュール社が公共秩序を乱す危険が高いとして、社名を入れた看板に「イスラム金融」の語を併記することを禁じた。同社創業者は、イスラム金融は共和国理念に反するものではなく、禁止決定は企業活動の自由を保障した憲法に違反するとして、ニース行政裁判所に保留処分を申し立てた。同市は、2016年、イスラム女性教徒のブルキニ使用を条例で禁じた自治体の一つで、国務院が右条例を無効と判断した経緯あり。
7日:フランス公衆衛生(健康省の管轄)は、環境変化に起因すると疑われる病理地図(2011-2013年)を発表した。それによると、男子児童においては潜在精巣(睾丸が陰嚢内へ下降しない状態)や尿道下裂(性器の変形)、男女児童に思春期早発症が認められる。内分泌攪乱物質(通称「環境ホルモン」)が原因の一つではと疑われている。特にラングドック=ルシオン州とミディ=ピレネー州(当時。共に現オクシタニー州)及びリヨン周辺地域に顕著で、女子の性早熟は仏全体の12倍、男子で6倍に達している。
8日:マルセイユ行政裁判所は、ガルダンヌ(ブーシュ・デュ・ローヌ県)のバイオマス発電施設の開設に先立って行なわれた環境影響調査を不十分と判定し、県庁による運転許可を取り消した。石炭と併せて燃料に用いられる木材資源伐採の環境に与える影響を十分に考慮していないことが原因。同発電所は従業員160-180名を擁しており、雇用維持、環境保護、エネルギー供給等複数の課題を含んだ検討が求められている。
11、18日:国民議会議員選挙第1回、第2回投票実施。全仏同様、管内でも大統領派の「共和国前進」(LRM)が躍進を遂げ、共和主義者党(LR)は野党第1党の座に甘んじ、社会党は凋落、国民戦線(FN)がかろうじて議席を維持し、「不服従のフランス」(LFI)は反マクロン陣営として南仏に根を下ろした。コルシカからは史上初めて3名の民族主義派議員が誕生した。{全仏政党会派別議席数:「共和国前進」314、「共和主義者」100、「民主運動」(MoDem)47、「建設派」(LC。大統領協力派)35、新左派(旧社会)31、「不服従のフランス」17、民主・共和主義左派(共産他)16、無所属17(内FN8)}
12日:エアバス社社長は、欧州連合からの英国脱退の交渉内容次第では、同国で予定されている新型機の生産が不可能となる旨表明した。同社は英国内に1万人を雇用するが、従業員の自由往来や関税障壁の不在が活動継続上不可欠の条件とみなしている。
21-25日:海上保安庁の練習船こじまが世界一周航海の途上、マルセイユに寄港した。
29日:マルセイユでは、抗不安薬のベンゾジアゼピンが本来の用途(抗癲癇)から外れて、容易く入手できる覚醒剤として巷間に広まっている。若者から高齢者に至るまで使用されている危険性に関係者は警鐘を鳴らしている。
治安関連
22日:パリの特別重罪裁判所は、「カンヌ-トルシー網」に関連した疑いで起訴されていた20名に有罪判決を下した(主犯格には禁固28年。2名は無罪放免)。パリ郊外サルセルでのユダヤ食料品店を狙った手榴弾によるテロ事件(2012年)やシリア滞在及びその支援に対して下された判決。「カンヌ-トルシー網」は、両都市の既存テロ集団が合体したもので、当時有数のテロ組織網の一つとみなされていた。代表格の者は検挙時に警官隊に発砲し抵抗の末死亡。
7月
2日:ミラマス駅で停車中の国鉄貨車から対戦車ロケット発射筒、砲弾等武器多数が盗まれた。捕えられた容疑者は犯行を自供。ギャング団やテロ組織に属する者ではなく、テロ特別警戒中にいとも簡単に行なわれた犯行に軍関係者は驚きを隠さず。
7日:南仏の農場で雇用されている外国人派遣労働者の労働条件を諸県が調査したところ、派遣元業者や受入先の農業経営者を含む違反体制のあったことが明らかになった。調査対象となったモロッコ、ボリヴィア、エクアドル等から派遣された男女200名の労働者は、無休、月260時間労働(規定では約152時間)、最低賃金以下の給与といった劣悪な条件化におかれていた。県では、正当な賃金が支払われるよう訴追する意向。
7日:ニース行政裁判所は、市内に開設予定の金融業者の店舗看板に「イスラム金融」の語の併記を禁じた市の決定を違法とする業者の訴えを却下した。裁判所は、「市決定は、深刻且つ緊急な対応を必要とする宗教上の差別とはいえない」と判断。
11日:欧州のイスラム教導者(イマーム)30名が、「テロに抗するイスラム信者の行進」と銘打って、ドイツ、ベルギー、フランス各国のテロ事件の舞台となった都市を巡り、贖罪と希望の声を届けた。全行程4000kmの最終地となるトゥールーズでは、モハメッド・メラによるユダヤ人学校襲撃事件(2012年)の現場を訪れ、学校関係者と共に記念碑に白ばらを献花。父母代表からは、一行の勇気に賛辞と共感が寄せられた。
24日:アルビオン台地(ヴォークリューズ、ドローム、アルプ=ド=オート・プロヴァンス3県に跨る)に存した地対地戦略核弾道弾発射施設(1970-1996年)に勤務した兵士や周辺住民計約50人に放射能の影響によると見られる肉腫や骨壊死が認められるとして、「アルビオン台地犠牲者協会」では、「核実験犠牲者協会」及び「核実験被害者認定・賠償対策監視所」と協力して第2世代以降に及ぶ影響も含めて疫学調査を実施する旨決定した。同時に、責任を問うべく司法の場にも持ち込む意向。他方国防省は、症例と施設活動との間に因果関係を認めていない。
26日:南仏各地で森林火災が相次いで発生(24-27日だけで計7200haを延焼)。州、県他関係者は消防飛行艇を含む装備の現状を不十分として大統領や内相に充実(欧州市民防衛組織の設立、消防飛行艇の新規購入・増強他)を求めた。
29日:ラングドック地方(オクシタニー州)で例年8月5日頃に開始される葡萄の収穫が今年は2週間早く行なわれた。「10年後には葡萄の摘み取りが歳時記上で7月に記されることになるのでは。」と懸念する葡萄栽培業者も。
治安関連
1日:タラスコン(ブーシュ・デュ・ローヌ県)で、「(麻薬の)売人、ジハディスト、アラブ人そして移民を殺す」と標榜した男(21歳)に対し、「テロリズム礼賛」及び「個人的テロ計画」容疑で予審開始が決定した。男は極右(ultra droite)に属し、前科あり。ネット上でノルウェーのテロリストを賞賛し、内務省のSファイルにも分類されていた。
8月
2日:トゥールーズ大学はオクシタニー州議会と協力してヨルダンにあるシリア人難民村の若者20人を2017年9月から奨学生として受け入れる。2011年3月以来シリア人口2500万人の中1200万人が戦火を逃れて国外に避難し、難民村では非政府団体の手で小学校が運営されているのが現状。将来のシリア建設を担う若者に高等教育を提供することが目標で、関係者は同様の試みが全仏の大学で実施されることを期待している。
3日:欧州の米生産国(ブルガリア、スペイン、イタリア、フランス他)における稲作がアジア諸国の攻勢を受けて減退の一途をたどりつつある。特にカンボジア産廉価米による影響が深刻で、関係8カ国の農相は、欧州産米保護のため輸入規制を欧州委員会に要請した。今日欧州では年間300万トンの米が生産され、400万トンが消費されている。2016年には136万トンが輸入されたが、輸入米の比重は年々増大。中でもカンボジア産米は2009年に6000トンであったのが、2016年には40万トンに達し、タイ米を凌駕して久しい。質も良くないが、その低価格は他の米に影響を与え、価格は2008年以来最低の水準に達した。欧州米は売れ残る一方で、2000人を雇用する南仏カマルグ産米も危機に晒されている。
7日:ユストゥ村(人口300人、アリエージュ県)で熊の村内「徘徊」を禁ずる条例が出た。村長は、熊と人とは共生できないとして、万が一事故が生じた際に市長としての責任を問われないための措置であると説明。本意は、かつて国が相談もなく熊を放ったことに異議を申し立て、起こりうる事故に対し国の注意を喚起することにある由。ピレネーに熊が導入されて20年が経つが、今ではその数は39頭に達している。
14日:トゥールーズでデング熱が発症し、患者(2名)の居住地周辺では媒介動物のヒトスジシマカを駆除するため殺虫剤が散布された。5月1日以降、オート・ガロンヌ県では4件、オクシタニー州では11件の発症例を数える。
ヴァール県(PACA州)でもチクングニアの発症が2人に認められ、保健衛生当局による蚊駆除が実施された。
30日:今夏、南仏で発生した森林火災は、消防にとって2003年以来の記録的な年となった。今年になって1.6万ha以上を延焼し(2016年は約1万ha)、消防飛行艇等による水投下数7900回(同4500回)、ガール県、アルプ=マリティム県及びコルシカといった南東部フランスに集中したことが特徴。(昨年迄は南西仏のピレネー=オリオンタル県やオード県でも多数の火災が発生。)40%は放火によるとみられる。
31日:プロヴァンス=アルプ=コート・ダジュール州では、2016年のテロ事件によって観光業が打撃を受けたが、今夏、観光客が復活した。(同州を訪れた観光客総数3000万人、内外国人600万人(独、米、伊、露、瑞西の順に多い)、一人一日当たり平均費消額64ユーロ(仏人53ユーロ、外国人114ユーロ)、2.07億泊(内44%は有料宿泊)、観光業は州経済の13%を占め、2.5万の関連企業が14万人を雇用、州の被雇用人口の10%に相当)
昨年トラックによるテロ襲撃を受けたニースは、事件直後観光客が激減したが、その後のテロ対策、観光振興策が功を奏して今夏のホテル満室状況はほぼ90%に達している。反対に、カンヌやコート・ダジュールにある他の都市では、中東からの富裕層が減り、予約を直前に入れる若者層が取って代わり、売り上げも減った。
治安関連
16日:パリの北西ルヴァロワ=ペレで兵士6名を車で撥ねて負傷させた犯行容疑者(36歳。8日発生)に住居を貸したと見られる男(35歳)がマルセイユで拘束された。当局では、同人と容疑者との関係(共犯の有無)を取調べ中。
29日:カオール(ロット県)で、数週間前にシリアから帰国した仏人男性(35歳)が自宅(両親宅)で拘束された。男は、「国家の治安撹乱に関わる人物」としてSファイルに分類されており、2年前にも家宅捜索を受けて裁判所監督下におかれた経歴あり。
9月
7日:学生専門誌の全国調査によると、大学生にとって住みよい都市は、1位リヨン、グルノーブル、3位トゥールーズ、4位モンペリエ、5位レンヌとなった。(講座提供、居住環境、雇用可能性等を考慮した結果)
12日:フランス全国で労働法改正に反対する労組のデモが実施された(政府発表によると22.5万人、労組発表では40万人参加。マルセイユでは同7500人及び6万人、トゥールーズで8000人及び1.6万人)
21日の抗議行動では動員数は前回を下回った(政府発表で13.2万人)。
13日:2024年パリ・オリンピック開催が決定されたことによって、マルセイユで海洋競技及びサッカーの予選が(サッカーはトゥールーズやニースでも)開催されることに。
15日:オート=ガロンヌ県生徒父母連合によると、移民子弟に限らず高校生の貧困化が進んでいる。親の失業に伴って住居を失い、路上や車中生活を強いられる生徒が増えているが、数さえつかめていないのが現状。(予算の削減で)学校の生活相談員が削られたため生徒には相談できる相手がいなくなり、教師が授業中居眠りばかりしている生徒に気づいたときにはもう手遅れのことが多い。また妊娠する生徒数も増加しており、父母連合では予防について啓蒙宣伝を再開するよう訴えている。
15日:アリエージュ県にある報道機関に、覆面に銃で武装した集団が「熊猟解禁」を宣言する動画がUSBキーで送付されてきた。森林管理局職員(羊が襲われた際に、熊による害であるか否かの確認業務を担当)を脅す文句も登場し、コルシカ民族解放戦線(FLNC)を想起させる服装・演出に警察当局は冗談なのか威嚇なのか捜査を開始。
25日:コルシカ民族解放戦線(FLNC)10月22日派は、「島の自治」に関し、進展が見られないとして、カタルーニャ地方と同様の国民的運動を起こすと述べ、政府が憲法改正を含む自治への対話の道を開かないならば、平和についての彼らの行動指針(2016年5月以来、武装闘争を放棄した)を見直すと威嚇した。
27日:放射線防護・原子力安全研究所は、フランス電力会社(EDF)にトリカスタン原子力発電所(ドローム県)の原子炉全4基を早急に暫定的運転中止とするよう勧告した。ドンゼール=モンドラゴン運河の堤防の脆弱性(激震時の耐久性の低さ)が理由で、補強工事の行なわれる期間が対象になる。同発電所は、右原子炉の他、アレヴァ社の放射性廃棄物処理工場や機密施設を擁している。研究所では、福島に学んで、「トリカスタン原発で、放射性燃料の冷却が不可能になった場合、原子炉が炉心溶融を起こす可能性」を想定。EDFは、堤防補強工事中の運転中止は不要としながらも、勧告には従う旨表明した。(10月4日運転中止)
29日:ニースに欧州及び地中海沿岸61都市の代表が参集し、イスラム過激主義に対し一致協力して闘う、そのため欧州には財政措置を求める旨を謳った「ニース宣言」を締結した。
治安関連
12日:コロン内相は、本年、フランスで12件のテロ行為が未然に防がれた旨発表したが、その中にはサロン=ド=プロヴァンス(ブーシュ=デュ=ローヌ県)にある仏空軍の航空学校襲撃計画も含まれていたことを明らかにした。5月2日、リヨン近郊、ルーアン、ヴィルナーヴ・ダスク(いずれも管外)で拘束された容疑者5人(全てイラク乃至はシリアの戦場行きの候補者と見られている)の尋問段階で発覚した。関係者は、発覚が早いほど、容疑者らの計画は多様で、同時に具体性に欠けたものとなっていると補足した。
18-22日:ニームのジハディスト網に関連して検挙された5人に対し、パリ大審裁判所は有罪判決を下した。シリアに出国し、2012-14年「イスラム国」の旗の下、アサド政権打倒のため戦闘に参加した4人の男(23-35歳)が8-10年の禁固刑を受けたのに対し、ジハッドに参加した兄弟を資金面で支えた女(35歳)は4年(内執行猶予2年)を宣告された。
10月
6日:英国で販売されたエアバスに関するリベート容疑で同国の重大不正捜査局(SFO)が捜査に乗り出し、その後フランスでも金融検察局(PNF)が捜査を始めた。同社社長は、不正の存在を知らせたのがエアバス自身であったこと、一連の不正容疑に対して重罰(莫大な懲罰金を含む)の科せられる可能性のあることを全従業員に通知した。ドイツ、オーストリアでも別の不正疑惑で各国当局が捜査中。経営に大打撃を与えかねないと懸念されている。
10日:12万人の公務員削減、給与凍結等を含む労働改革に反対して、全労組の呼びかけで公務員ストライキ(医療・教育・行政関係者等)が実施された。(マルセイユでは警察発表で7000人、主催者発表では3.5万人が参加。トゥールーズ各7500人及び2万人)
18-23日:オクシタニー州代表団がモロッコを訪問し、モロッコ州協会(ARM)と同国の州議会管理職を養成する協力協定を結んだ。フランス州協会(ARF)とモロッコ州協会との間に結ばれたモロッコ公務員及び議員養成に関する協定に基づくもので、地方分権化に伴う国際州間協力の一環。
24日:カタルーニャ州の独立を巡ってスペイン中央政府との緊張の高まる中、国境を接する仏ピレネ=オリオンタル県(オクシタニー州)では、独立派の住民でカルラス・プッチダモン同州首相他関係者に避難先を提供する動きが出ており、その数は約20ヶ所に達している。(10月1日に実施された住民投票に際しては、スペイン政府による投票用紙の押収を恐れて同県に発注し、県内に保管した経緯あり。)
25日:エアバス社超大型機A380型が初就航して10年を経たが、累積販売数は振るわず(317機)、損益分岐点(1200機)にはほど遠い。生産工程も速度を落とし存続させている状態。競合するボーイング社では超大型機に対する需要は限られていると判断し開発を見送った機種。利用客の評判は極めて良いが、世界金融危機の発生時に高価格(4.37億ドル)で登場し、生産面で大幅な遅れや問題が絶えず、期待していた中国航空市場での発注も皆無という悪条件が重なって今日の結果を招いたと見られている。
26日:山岳地帯に出没すると言われていた狼が地中海に接するカマルグ湿原地帯で確認撮影された。今夏以来羊16頭が襲われて死亡、37頭が負傷し、一帯の放牧業者に緊張が高まっている。
29日:ハリウッドの映画製作者の捲き起こした醜聞に触発されて、フランスでも暴行、痴漢、嫌がらせ等女性が日常的に蒙る性被害に対して全国で抗議の声が挙がった。マルセイユで行われた集会には150人が参加。
治安関連
1日:マルセイユで不法滞在のチュニジア人男(29歳)が行きずりの女性2人(20歳と21歳)を刺し殺し、歩哨中の兵士に襲い掛かって射殺された。「イスラム国」が犯行声明を表明。犯人が2005年及び2014年に軽罪で検挙されていた上、犯行の前週にはリヨンで窃盗により現行犯逮捕されたが、収容センターに空きが無かったため釈放され、犯行につながったことから県庁の機能不全が問題とされ、県知事が更迭された。
17日:極右(ultra droite)運動に近しいと見られる10人(17-43歳。男9人、女1人。)がマルセイユ近郊、フォルカルキエ及びパリ地域で検挙された。移民、モスク、マルセイユの蚤の市等、「象徴的」とみられる標的を狙った複数のテロ計画を企んだ容疑。他にも、ジャン=リュック・メランション(大統領選候補、国民議会議員、「不服従のフランス」所属)やクリストフ・カスタネール(政府報道官、「共和国前進」所属)といった政治家も対象になっていた。
11月
12日:放射線防護原子力安全研究所(IRSN)は、9月末南東仏で検出されたロシア起源と推測される放射能汚染についての調査報告「フランス及び欧州におけるルテニウム106の検出」を公開した。報告によると、「欧州(14ヶ国)とりわけ仏で検出された大気中のルテニウム106の水準(9月27日から10月13日にかけてセーヌ=スュール=メール、ニース及びアジャクシオで大気1㎥中に最高46ミリベクレルを検出)は、人の健康にも環境にも影響は無い」と判定。発生源については、他の放射性元素の検出されていないことから原子力発電所ではなく、「ヴォルガ川とウラル山脈の間である可能性が高い」。ロシアは責任を否定。仏放射能研究及び独立情報委員会(Criirad)は「汚染源究明が緊急課題。漏洩元自身が気づいていないにせよ、当局による隠蔽にせよ、事態は重大」と指摘。20日、ロシア気象局は前月値を986倍上回るルテニウム106を測定した旨発表。
15日:2023年ラグビー世界杯の主催国がフランスに決まり、マルセイユ、ニース及びトゥールーズでも予選実施の予定。
15-16日:サン=ポール=レ=デュランス(ブーシュ=デュ=ローヌ県)で第21回ITER理事会開催。2025年の第1プラズマ達成に向けて計画が予定通り進捗していることが確認された。
20日:ニースの予審判事は、同地空港に到着したロシア上院議員で同国第26番目の富豪(スレイマン・ケリモフ、51歳)を司法監視下に置き、資金洗浄及び脱税の容疑で予審開始を決定した。仏税務当局によると、ケリモフはコート=ダジュールに複数の豪邸を別人名で購入し、購入額も過小に申告しており、数千万ユーロの返済義務の生じる可能性がある。ロシアは、外交特権を無視した仏側の一連の措置に抗議したが、仏当局は外交旅券を使わず私人として渡仏したとして捜査の合法性を主張。
{22日:マラケッシュで大西洋マグロ類保存国際委員会開催。クロマグロの漁獲割当量を2018年2.8万トン、2020年3.6万トンに定めた(2017年2.365万トン)。そのうちフランスはオクシタニー州を筆頭に15%の伸びを見、永年の漁獲制限に耐えた漁業関係者は安堵した。一方、世界自然保護基金(WWF)は、資源量の回復は確実ではないとして割当変更に批判的。}
治安関連
{1日:緊急事態宣言が2年ぶりに終結した。以後テロ対策法が取って代わることになる。}
10月2日-11月2日:パリ特別重罪裁判所でモハメッド・メラによるテロ事件(2012年3月発生)に共謀した容疑で兄アブデルカデール・メラ(35歳)他を被告とする審理が実施された。右被告に対し「テロ犯行を企む犯罪者の連合」罪で禁固20年の刑が下された。他方フェタ・マルキ被告には、モハメッド・メラが殺害に用いた銃を提供した罪で14年の禁固刑が下された。
7日:イール=ド=フランス州、ブーシュ=デュ=ローヌ県及びアルプ=マリティム県でテロを画策していたと見られる10人(18-65歳)が検束された。検挙は、エクサン=プロヴァンス市、マントン市、ヴァル=ド=マルヌ県及びセーヌ=サン=ドニ県で実施され、ニース市を標的とするテロ計画(企図は具体化されつつあった)が妨げられた。
12月
3、10日:コルシカ議会議員選挙の結果、民族主義者が大勝した。(同議会は、2018年1月に発足するコルシカ領土議会、オート=コルス県議会及びコルス=デュ=スュード県議会の3者を統合した新たな自治体)
民族主義者は56.46%の歴史的得票率を達成し、63議席中41議席を獲得、小政府ともいえる執行議会の全11議席も手中に収めた。大勝に力を得た民族主義者は、今後一層の自治権を求めてパリに対する圧力を高めると見られている。具体的には、「政治犯」の恩赦、コルシカ語の公用語化、不動産投機に抗するための島居住者の地位認定が挙げられる。
14日:「エクスのカリソン(kalisong)」を中国市場で商標登録した同国製造業者に対する許可(2016年承認)を中国当局が取り消した。南仏エクサン=プロヴァンス(エクス)で先に登録されていた同地特産品の商標(calisson)との混同を招くというのが理由。エクスの製造業者は、まがい物が中国市場を席巻し、本物が利益を脅かされることを免れたと安堵。しかも今回の危機を前にして、仏側製造業者が自分たちの間で15年来合意に至ることのなかったカリソンの地理的表示保護も達成した。
16日:アシックス社は、南欧市場に向けた運動具補給基地をエロー県モギオ市にあるモンペリエ空港敷地内に建設する。3.5万平米以上の土地に南欧市場(ポルトガル、スペイン、フランス、イタリア)を視野に入れた同社の製品補給基地を設け、100名乃至200名を雇用する。2019年の完成予定。
30日:仏伊国境に近いマントン(アルプ・マリティム県)一帯に勤務する国境警察官(PAF)が劣悪な職場環境に抗議して病欠を行使する例(罷業権は無いため)が続出している。国境警察では、2017年、年間新記録となる5万件に及ぶ不法入国移民を扱ったが、例えば、ロヤ渓谷のファンゲット(イタリアからの移民が通過することから検問地点の1となっている)には水・電気・ガスはもとより最低限の衛生・暖房設備さえ整っていない状況。他にも、移民移送用車輌や、新型自動小銃の講習会(銃器は既にあるが、受講したのは警官70人中2人のみ)を要求している。
治安関連
5日:ミラマス市(ブーシュ=デュ=ローヌ県)に「過激化についての市交換室(Cmer)」が設置された。県警察知事主導の下、イスラム過激化を予防するため住民の過激化徴候をいち早く察知し、雇用、社会活動、教育を含めた部局が協力して当人の社会的統合を図り過激化に対抗しようとする試み。県下の他都市でも開設の予定。