総領事 新年のご挨拶

令和4年1月4日
在マルセイユ総領事 村田 優久夫
新年のご挨拶
 
 皆様、新年明けましておめでとうございます。本年も宜しくお願いいたします。
2022年を皆様とともに明るい年にしていきたいと思います。南フランスを管轄する総領事として以下の3点を全力で取り組みます。

(1)  南フランスにおける日本とフランスの自治体交流の活性化   
(2) 日本とフランスの交流の歴史の再認識と促進
(3) 11月下旬のオクシタニー州日本週間の開催
 
1 南フランスにおける日本とフランスの自治体交流の活性化
 日本とフランスは、姉妹都市・友好都市交流を締結した自治体間の定期的な会合を開催しています。日仏の自治体の代表が集まって、共通する課題について議論し、両国の自治体の発展と交流の深化を目指しています。次回(第7回)の会議は10月にエクス・アン・プロバンスで開催される予定です。
 南フランスにおける姉妹交流は以下の通りです。
―京都府とオクシタニー州
―和歌山県とピレネー・オリエンタル県
―栃木県とヴォクリューズ県
―兵庫県とアヴェイロン県
―神戸市とマルセイユ市
―熊本市とエクス・アン・プロバンス市
―鎌倉市とニース市
―静岡市とカンヌ市
―釜石市とディーニュ・レ・バン市
―三朝町(鳥取県)とラマルー・レ・バン市
 
 これらの自治体のリーダーが一堂に会し、「ポストコロナの世界における包摂的で持続可能な地域のためのイノベーションの緊急性」を議論します。
 この会議を一つの契機にして、日仏間の自治体交流、市民交流を活発化させたいと願っています。ほぼ2年間にわたり日仏間で直接対面の交流がほとんどできませんでした。しかし、逆にITを使った遠隔交流が可能になりました。このような点も踏まえ、交流の拡大と深化を図っていきたいですね。具合的な訪問交流も計画されていますので、総領事館としては全力で支援していきます。また、姉妹交流には至っていないものの、検討中の自治体がありますので、姉妹交流実現に尽力します。
 
2 日本とフランスの交流の歴史の再認識と促進
 1858年の日仏友好通商条約締結以来、日仏間で多くの人々が行き来し、相互に影響を与えてきました。芸術分野のジャポニズムは双方の国でよく知られていますが、フランスが日本の産業革命・近代化に大きく貢献してきた歴史は、日仏のいずれでもあまり知られていません。幕末の1865年に横須賀造船所及び横浜造船所を設計・建設したのはレオンス・ヴェルニーです。横須賀にはヴェルニー公園や記念館もありますが、横須賀市民以外にはあまり知られていません。フランスでもヴェルニーのことを知っている人は少数です。昨年、私はヴェルニーの生地のオブナでヴェルニーの曾孫の方に会い、ヴェルニーの館とお墓を訪問しました。その館には、モンゴルフィエールが撮影した鮮やかな横須賀造船所の写真のアルバムが保管されていました。その曾孫の方は、ヴェルニーの功績を顕彰すべく活動をしています。横須賀造船所はトゥーロンをモデルにしています。その関係にも再び焦点を当てて行きたいと思います。
 また、1862年に日本に行き(詳細はHP参照:https://www.marseille.fr.emb-japan.go.jp/itpr_ja/ohaka_00001.html)、長崎、京都、東京でフランス語を教えたレオン・デュリーは、マルセイユから50kmほど北西のランベスクで1822年に出生しています。デュリーは1877年に教師を辞し母国に帰国するにあたり、京都府が選抜した若者8名を引率し、彼らがフランスの最新の産業技術を習得するまで、実の親のように面倒を見ました。彼が逝去した後、彼にフランス語を学んだ人々が彼の功績を刻んだ石碑を建立しました。その碑は京都日仏学院の庭にあります。デュリーの弟子たちはそれぞれの分野で活躍し、日本の近代化に貢献しました。デュリーの先見の明、日本の若者を親身に、誠実に面倒を見てきた事実を多くの人に知ってもらいたいと思います。幸い、まさにランベスク出身の女性歴史家が、デュリー生誕200年の本年、デュリーの生涯を解き明かす本を出版します。早く読みたいですね。
 
3 オクシタニー州日本週間の開催
 デルガ・オクシタニー州議会議長、伊原在仏大使等の間で、オクシタニー州日本週間開催が合意され、11月25日からオクシタニー州の各地で日本関連行事が行われます。私は昨年10月からオクシタニー州の主要都市を回り、市長はじめ文化関係者等と面会し、日本週間への積極的な参加を働きかけました。全ての方が賛同し、積極的に参加すると言ってくださいました。多くの都市で日本を身近に感じる多くの行事が開催され、日・オクシタニーの交流・相互理解の進展を強く期待しています。また、プロバンス・アルプ・コートダジュール州、コルシカにおける日本行事にも積極的に取り組みたいと思います。
 
 最後に皆様のご健康とお幸せ、益々のご発展を祈念いたします。
 
2022年1月
在マルセイユ総領事
村田 優久夫